オレとオマエ、睨み合い中。【青】 (ページ13)

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大人か子供かページ13

『てか、翔太歳とってなさすぎない？』

私が真顔でそう言うと、翔太は思わず吹き出した。

渡「とってるわ。お前らと同じ30歳だっつーの」

そう。翔太に全く気が付かなかった一番の要因は、彼の外見が若すぎたからだ。

何度見ても若い。ずるい。私なんか必死に毎朝メイクを施しているというのに…

渡「そりゃ俺は多少若く見えるだろうけどさー」

阿「翔太は一番美容周りに詳しいし、気使ってるからね」

『…なるほど、どうりで肌が無駄に綺麗なわけだ』

渡「おい、無駄とは失礼だな」

佐「やばいっ！もんじゃ焦げる！」

渡「やっべ」

慌てて翔太は小さなコテを手にした。

もんじゃ焼きは箸じゃなく、このコテで食べるものらしい。

渡「賃貸契約の書類は柳瀬になってたから、あー、Aって名前わりといるんだなー、なんて思ってたら店に来たのはどう見ても渡会Aだしさぁ。

そうか、苗字が変わったんだなって気がついて。でもお前、俺のこと全然気が付かねぇし」

『両親が離婚して、母方の姓になったの。……私の外見そんなに変わってない？』

中三の夏に引っ越したので、この三人は私の旧友にあたる。

渡「今も昔も真面目だけどどっかバカで、ぜんっぜん変わってねーよ。んー、サイズ的には縮んだ？」

『してない。あんたが勝手に伸びただけ』

ムッとしつつ、そう返す。さっくんが「そう？」と会話に入る。

佐「俺は気づかなかったけどねー。結構経ってんだから、それが普通なんじゃない？」

『だよね。……というか、私はいまだに信じられない…ほんとにさっくん、だよね？』

佐「佐久間さんだよ～～？？」

ハイボールで喉を潤していた。

昔のさっくんからは想像もできないような光景である。

渡「Aはいつ渡会じゃなくなったわけ？」

大きなチーズの焦げを剥がしながら、翔太が聞いた。

両親の離婚はいつだったのか、そういうことを聞きたいのだろう。

『高校に入る直前。

学校が変わる同時に苗字が変わるのが一番いいでしょっていう配慮、かな。円満離婚だよ、

今父親は大阪にいて、母親は福岡にいる。どっちも再婚してるし、幸せそうだよ』

渡「お前、新しい家族と上手くいかなくて孤独だったんだな……あまりの寂しさに懐かしい雪森町に帰ってきたのか…」

どこで培ってきたんだ、その想像力。