#177 ページ16
R.Yサイド
母「A…!!!ごめんなさい、一緒に入れなくて」
父「だけどこれからは一緒だぞ」
A「本当？ぱぱ」
ぱぱ＿
その言葉はもう俺らに向けての言葉じゃない。
そっとその場を立ち去ろうとAたちに背を向けて歩き出した時だった。
A「ぱぱ？どこ行くの？」
Aが呼び止めた。
しかしその言葉にこたえちゃだめだ。
下唇を噛んであふれ出してきそうなものを押えてAのほうを向いた。
しゃがむとAはこちらへやってきた。
涼介「A、俺らはもうパパじゃない」
A「パパだよ！」
俺のことばにかぶせる勢いで叫んだA。
ほかの奴らも驚いているようだった。
A「パパだよ…Aのパパは10人。みんなみんなAのパパ。」
侑李「A…」
目に涙をためているA
涼介「…パパたちはAのそばに入れなくなっちゃう」
A「なんで…？」
涼介「Aのためだよ。」
腑に落ちなさそうな顔をしているAにこう言った。
涼介「A、最後だよ。パパたちとのお約束」
A「お約束？」
涼介「うん。笑顔でいること。辛くて悲しくて泣いちゃってもちゃんと前を向くこと。また笑顔になること。
…またいつかあったとき笑顔で来てほしいな。」
A「ぱぱ…まもる、Aまもる!!!」
大きな目からぽろぽろと零れ落ちる涙。
Aをぎゅっと抱きしめた。
一人ずつAを抱きしめた。
宏太「元気でな」
光「好き嫌いすんなよ」
雄也「勉強頑張れ」
慧「美女に育ってね」
圭人「英語、がんばって覚えてね」
裕翔「病気にかからないようにね」
大貴「心は一緒!!!」
侑李「…大好きだよ」
一人ずつのハグを終え、俺の前に来たA。
涼介「大きくなれよ」
A「…うん！」
Aは二人の元へ走った。
立ち上がりAのご両親に頭を下げる。
父「今までAをありがとうございました」
母「心から感謝いたします」
Aは二人の間にいる。
ぺこりとお辞儀をした二人はAの手をつないで搭乗口へと向かった。
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