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わたくしはいつも通り、
癒術を使って彼女のココロから
夢を呼び覚ましました。
今回光によって形作られた景色は、
彼女の隣で男性が笑っている様子。
二人は幸せそうにしています。
ああ、彼女は誰かに大切にされたいのか。
わたくしの最低な記憶が薄く脳裏に広がるのに
気付かないふりをしつつ、彼女に向かって、
夢のまた夢だなんて思わないでと
微笑みかけました。
光がココロへ還る代わりわたくしの手には、
小さな美しいガラスの靴が現れました。
彼女はそれを見てくすくす笑います。
曰く、幼い頃憧れた靴だったと。
何者にも染まらないそれは、
彼女の純粋なココロそのもの。
ガラスの靴が表したものは

「穢れることなき夢、ですね」


さあ、貴方の瓶詰めを創りましょう。


材料を机上に並べ、ドレスを着た魔法の人形に
小さなガラスの靴を履かせる。
魔法の人形に想いのカケラを渡しても
ガラスの靴は変化しなかったのです。
きゃっきゃと喜ぶその姿はなんだか、
わたくしの想像した
彼女の幼い頃を見ているようでした。

「あなたの瓶詰めです、どうぞ」

瓶の中の華やかなドレス姿の人形が
彼女に向かってガラス越しに手を合わせる。
人差し指でそれに応えた彼女は
うっとりとした瞳を人形へ向けていました。

「貴方には確かな夢があります。
それはこれまでもこれからも変わりません。
幸せとは誰かを踏み台にして
手に入れるものではなく、
自分の力で掴みにいくモノ……なんて、
貴方はとっくに解っていらっしゃるでしょう。
どうか謙虚さを忘れず、幸せになってください」


ああ懐かしいですね、あの頃の彼女。
わたくしの元に来た数ヶ月後でしょうか、
彼女は本当に幸せになってしまいました。
とても立派になられて、やはり人というものは
その瞬間だけの見掛けにはよりませんね。
……え?途中でわたくしが思い出した事ですか?
ふふ、首を突っ込まない方がよろしいかと。
知ってしまえばあなた自身も、
ココロの闇を知ることになりますから。
あえて一言言わせて頂くとすれば……
ふむ、そうですね。


わたくしはシンデレラに嘘をつきました。

店主からの伝言→←4瓶目 灰被りのあの子



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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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