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2瓶目 マリッジブルーの花嫁 ページ3

ある年の梅雨の季節、
3日後に式を控えるという
一人の花嫁がわたくしの元に来ました。
彼女の悩みはマリッジブルー、
愛する彼とのこれからが不安のようでした。

本当に彼でいいのか怖くて、
そう呟いた瞳は不安に揺れています。
互いを愛し合っているのに不安を抱くことは、
まるで自分が自分じゃないようにも思え
それはそれは恐ろしいこと。
思い焦がれた「好き」までも疑う自分に
自己嫌悪を感じる日々だったと言います。
わたくしは話の中で感じました、
この方に足りないものはアレだと。

それからわたくしは癒術の力を使い、
彼女のココロに隠れていた
二人の思い出を呼び起こしました。
キラキラとした光が彼女のココロから出てきて
目の前に素敵な日々の1ページを形作ります。
貴方と彼の思い出はここにありますよ、
そう言ってわたくしが自分の胸に掌を当てると
それを合図に彼女のココロへ光が還っていく。
途端、淡いオレンジのカケラが飛び出し
わたくしの手へ転がりました。
宝石のように美しく、
内側に燃えるような赤い熱を帯びたそれは

「……安心の感情、ですね」


さあ、貴方の瓶詰めを創りましょう。


小瓶と想いのカケラ、魔法の人形を机に並べ
意識を集中させる。
いつものように深く息を吸うと、
思考までもが澄んでいくようでした。
魔法の人形を手に取り想いのカケラを与える。
不思議そうな顔をしたその子が触れると、
想いのカケラは眩い光を放ち
次の瞬間には小さなバラの花束に
その姿を変えた。

「あなたの瓶詰めができました」

そう言って手渡すと、
彼女は驚いたように目を見開いた。
曰く、そのバラは彼からの贈り物らしい。
瓶底に敷かれたカスミソウの上で、
魔法の人形が微笑みながら
花束を彼女に差し出した。

「この花達は貴方の気持ちを表しています。
カスミソウの花言葉は幸福、
バラは……言うまでもありませんね」

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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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