きみの魔法 III (ページ15)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:9,985 hit

・ページ15

全てが話終える頃にはもう、私は涙が止まらなくなっていた

背中をさすってくれる紫耀も何故か大泣きで...

母｢本当にごめんなさい｣

お父さんとお母さんは結婚して私達を授かり幸せに暮らしていた

でも少しずつ時が経つにつれてすれ違ってしまうことが多くなった

意見が合わない、心で考えていることが伝わらない、相手に理解してもらえない...

理由はそんな些細なことだったけれど、次第にそれは大きなものへとなり別れ話へと発展した

好きであるが故にすれ違っていたのかもしれない、と今ならそう思うのだと言う

母｢あの時は自分のことしか考えてなかった

元々バリバリ働いてたから子育てとかも全然分からなくて

それにお父さんは仕事柄帰ってくるのが遅いでしょ？双子だから育児の負担だって普通の二倍なのに頼ることも出来ない、相談すら出来ない...

今なら自分も間違っていたことだって分かるし、ちゃんと話し合えば良かったと思ってる

でもあの時は一緒に生活するのが正直限界だったの｣

遠い日を思い出すように話す

母｢離婚が決定した時に、はじめは私が二人とも引き取ろうと思ってたのよ？育児が大変と言っておきながら結局は二人のことが可愛くて仕方がなかったし手放したくなかった

でも、あの家を出ていくことを伝えたら由季が泣き喚いてね...あれは凄かったわ

その理由は何だと思う？｣

紫｢お父さんと離れたくなかった？｣

母｢んんー、まぁそれもあるのかもしれないけど...｣

少しだ顔を緩ませて苦笑いする

母｢一番の理由はあなた、紫耀くんよ｣