きみの魔法 III (ページ14)

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言い終えると

紫｢え...ちょっと....｣

手をぱっと離されたから隣を見ると

紫耀は驚いた様子でこちらを覗き込んでいた

紫｢泣いてる、ん？｣

｢うっ...っ、｣

自分では気づかなかったけど涙が零れていた

服の袖で頬を伝う涙を勢いよく拭いとって、もう一度その人を見つめ直す

｢えっ...｣

その人も何故か泣いていた

母｢.....｣

音を立てることも無く

ただ一筋の涙がすっと流れ落ちる

母｢由季...｣

｢うん...｣

母｢本当なの？｣

恐る恐る近づいてきて私の前にしゃがみ込む

震える手を伸ばし太腿上の私の手にのせる

母｢ごめんなさい、ごめんなさいっ...｣

何度も何度も謝りながら

手の上にぽろぽろと涙を落とした

その人は紛れもなく私のお母さんだった

・

少し落ち着いたのか立ち上がって

震える息で深呼吸をした後に

私の前の席に座り机を挟んで向かい合う形になった

母｢本当はもう一生話さないつもりで生きてた

会わないつもりだった

このままでいいのかって何度も悩んだけれど、それでも答えは変わらないつもりだったわ

でも...全て話すわ｣

まるで自分自身に言い聞かせるように

少しずつ過去を語り始めた