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兵助 side
兵助「き、如月先輩っ!俺に火薬の使い方を教えてください!」
一年生の盗賊に襲われた次の日のこと。
俺は助けてくれたAが気になって、夜も眠れなくなるほど彼女のことを考えていた。
この時、自覚はしていなかったが、言わば”一目惚れ”ってやつだったんだろう。
幼い頃から俺は人見知りで泣き虫だった。
今ではそれも完全に克服し、昔みたいにすぐ泣いたり人見知りを発動することはなくなった。
それもA先輩のおかげで、な。
『火薬?それなら火薬委員会の顧問か先輩に聞けばいいじゃない』
兵助「A先輩は、成績がいいとお聞きしたのでぜひ教えてもらいたいと思って……」
ダメですか、?なんてあざとかったんだろう俺が先輩の何かに響かせることに成功し、先輩は
『い、いいわよ……』
顔を少し赤くしながら了承してくれた。
その後長屋で勉強を教えて貰ってわかった事だが、
彼女はとても頭がいい!
そしてなんと言っても教え方が人一倍上手い!
俺が分からないところはスラスラと述べて教えてくれた。
教師なのかと疑うほどだ。木下先生には申し訳ないけど、この時はA先輩に授業してもらった方が得だねと思ってしまった。
『君って努力家だねぇ』
兵助「そう、ですか?」
『うん、きっと優秀な生徒って言われるよ』
A先輩は笑いながら言った。
その四年もあとの事で、予想通り俺は優秀な生徒……と豆腐小僧なんて異名を持つことになったが
この人の言う事は予知って当たるんだなぁって思う。
あと、女なのに強く見える。
やっぱり、手の届かない存在で
____愛おしい。
昔から気持ちを抑えきれなかった。
地元では意気地無しの泣き虫ということで女の子からは好かれることは無かった。
でも
A先輩だけは俺を受け入れてくれてるような気がして……
『兵助ー?この火薬どこに置けばいいの?』
兵助「……好きだなぁ」
『ん?何が?豆腐?相変わらずねぇ』
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