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『逃げるよっ!』
勘右衛門「あ!」
兵助「わぅ」
A先輩が投げたのは煙玉。
彼女のお手製煙玉を使われたことにより盗賊達は咳き込み周りが見えなくなっていた。
その隙にA先輩は俺と兵助の手を引いて何とかその場から逃げることに成功した。
勘右衛門「あ、あの……」
『大丈夫?怪我ない?』
勘右衛門「だ、大丈夫です!」
はぁ、と息がまだ荒いが
彼女は俺たちの安全確認をした。
『ごめんなさいね、本来ならボコボコにするべきなんだけど体格差で多分負けちゃうから』
勘右衛門「い、いえ!助けていただいてありがとうございました!」
兵助「あ、ありがとうございました…!」
大袈裟に頭を下げた。
『そ、そんな大袈裟な……!後輩なんだから当たり前よ』
勘右衛門「し、しかし如月先輩と我々はまだ離したことすらないのに……見ず知らずの俺達を助けていただいて」
『あらぁ、あなた達のことは文次郎達からよく聞いてるわよぉ』
どうやら、直接は離したこと無くても
同級生である先輩からは話を聞いていたようだ。
『初めてできた後輩だからね、みんな嬉しそうに話してたよ』
勘右衛門「そ、そんな…お恥ずかしい」
兵助「(先輩方ってそんなキャラだっけ……)」
『じゃ、私は用事があるからお先に失礼するわ』
勘右衛門「え、あ、まってくださ!」
俺達が言い終わる前に、A先輩は走ってその場を後にした。
当時俺たちよりも身長は高いが、あんな小さな体でどうやって高速を出せるのか……。
勘右衛門「行っちゃった……」
兵助「うん……かっこよかった」
勘右衛門「てか兵助ずっと俺の後ろに隠れてたじゃん!失礼だよ」
兵助「だ、だって驚いて……」
勘右衛門「ああああ俺が言いすぎた、悪い、だから泣かないで!」
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