【A3!】イージーモードな彼と私【摂津万里】 (ページ26)

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＊かっこいいページ26

「はぁ～かっこいい…」

雲ひとつない青空の下、人が少ない大学の中庭で万里のスマホを握りしめる。ベンチで隣に座る万里が、黙りしてるけど気にしない。

「かっこいい…茅ヶ崎至さん…」
「…そんなにかっこいいかよ」
「そりゃもちろん！！王子様系のイケメン！って感じ！」
「あっそー」

あ、これはいじけ始めたな…と思った時には既に遅かった。

「はい、スマホ没収～」
「あ！ちょっ、もう少しだけ～！！」
「むりで～す」

万里のゲーム仲間だという茅ヶ崎至さんは私の推しである。めちゃくちゃかっこいい。好き。

万里が撮った茅ヶ崎至さんのリアルオフショットを見ていたのだけど、スマホを高々と持ち上げられれば腕を伸ばしても取れない。

「ここまで届いたら見せてやってもいいけど？」
「む～、いじわる…」
「はっ、言ってろ」

したり顔の万里を睨んでからふうっと深呼吸する。よしっ！と思いっきり手を伸ばすが、スマホはどんどん遠くなる。

「ずいぶん必死だな？」
「うるさい」

腕を伸ばしたまま脱力して万里の胸に寄りかかる。そのまま肩を抱かれると、周りに人はいないけど何だか恥ずかしくなってきた。

「至さんより、俺の方がいいだろ？」
「どうだろうね」
「耳赤いけど？」

スマホをポケットにしまって、空いた右手で耳たぶを引っ張られる。たぶん耳だけじゃなくて顔も赤いな…と万里の首元に顔を埋めた。

「茅ヶ崎至さん…」
「まだ言ってんのか」
「かっこいい、けど」
「けど？」

黙っているとなんか言えよ、と笑いながら今度は頬を撫でられる。

「けど、なんだって？」
「…万里のほうが好きだよ」

そう言うと返事がないけど、あきりたりなこと言ったからまだ不機嫌なのかな…？
不安になって万里の顔を見あげれば、狙い通りというようにキスをされた。

「よし、合格」
「…ずるいな」
「へーへー、俺はずるい人間だからな～」
「おらっ」
「っだぁ、痛てぇだろ！」

ニヤニヤする万里に腹が立ったのでデコピンしてやった。力加減を間違えて万里のおでこが赤くなっているが、前髪で隠してあげた。偉いぞ私。

「でさ、お願いがあるんだけど」
「だいたい予想ついてってど、なんだよ？」
「茅ヶ崎至さんのサイン貰ってきてください！！！」
「あー、はいはい。考えとくわ～」
「絶対貰ってきてくれないやつだ…」

そしてこの姿を同じ劇団の一成さんによって拡散されたのはまた別の話。