【A3!】イージーモードな彼と私【摂津万里】 (ページ3)

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＊もしかしてページ3

「わ！もしかして『夏組』の人！？すごーい！あ、握手してもらってもいいですか！？」
「もちろんいいよん☆可愛い彼女ちゃんにあった記念でみんなで写真撮っちゃう？」
「撮っちゃう撮っちゃう！」
「撮っちゃう、じゃねぇ～よ！ったく…なんでお前らまでいるんだよ」

公演を観に行ったことがあるが、板の上にいない等身大の役者を観るのははじめてだったので、変にテンションが上がった。
聞くと夕方まで稽古がないため、私たちと同じ映画を観に来ていたらしい。ミスった…なんて頭を掻く彼を放っておいて、キョロキョロとある人物を探した。

「あ！あの！皇天馬さん！ですよね！？すごい！近くではじめてみた…すごい…！！サインもらってもいいですか…！？」
「えぇ！？あ、あぁ。おう、もちろん」
「芸能人モードか、普段はポンコツのくせに」
「う、うるさい！俺はポンコツじゃない！」

きっと街中でこんなに騒いだら人が集まってくるのかな、なんて思いつつも芸能人が目の前にいたら声量は大きくなってしまうのも仕方がない。
というか、館内にまで反射するタイプのサングラスとは…逆に目立っている気もするがまあいい。とりあえずサインを貰おう。有名人のサイン。

「サインどこに書いてもらおうかな…万里ぃなんか持ってない？色紙とか」
「さんかくならあるよ～！」
「さんかく…？」
「さんかく…って、それ俺のピアスじゃねぇか！なんで持ってんだよ！」
「俺！野球のボールなら予備で持ってるよ！」
「まじのサインボールかよ！つかなんで常に持ち歩いてんだ！」
「ぼ、僕はさっき買った漫画しか持ってないです…。すいません。僕がクズでマヌケでなんの用意も出来ないナマケモノだから…」
「いや、誰もそこまでいってねぇだろ…」

一気に騒がしくなり怒涛のツッコミラッシュにぐったりする万里。おつかれ、と肩に手を置けばこいつらうぜぇ…といいつつなんだか楽しそうだった。

「サインは諦めて…握手だけでもいいですか？」
「おう、いいぞ」
「わ！手すべすべ…！すごいよ万里～！皇天馬と握手しちゃった！！あああもう手洗えないよ！？」
「あ～、わ～ったわ～った行くぞ～」
「ちょ！せっかく握手したのに！ちょっと！」

握手した右手を思いっきり掴んで、いつの間にか入場開始になっていた館内へ入って行った。

…この時、まさか後ろに夏組のみなさんが座るとは思わなかった。