【REBORN】包容する大空 ⅩｘＸⅡ【XANXUS】 (ページ32)

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標的1436＊その足で進むページ32

静かな室内。皆の視線を感じて私は瞼を開いた。

貴「ボンゴレのためとか、今はそう思えないって気持ちもある。でも……アクアファミリーの一件で思い出した。ずっと昔の私が欲しかった強さも、自分で決めた事も。」

誰も何も言わない。ただじっと私を見る。

だから私は、その視線をそらさず受け止める。

貴「大切なものが沢山出来た。護りたいものが沢山出来た。」

ずっと‟昔”はそんなものもなかった。やっと出来たものさえ失った。

それでも‟私”は独りじゃなかった。

伸ばし続けてくれた手があった。支えようとしてくれた人がいた。そう在りたいと願っていた。

同じ事を繰り返したくない。

だけれど、もう二度とそれから逃げたくない。

貴「私はもう……背負う事からも、護る事からも、失う事からも、逃げたくない。」

山「A……」

貴「表の世界だとか裏の世界だとか、そういう事は関係ない。私は進みたい。待ち受けるのがどんな道であっても。」

言い切る私に『VARIA』の面々はどこか不敵な笑みを浮かべた。

心強さを感じてる。だけど同時に少しだけ不安もある。

だから私は獄寺君達を見る。

貴「私は決めたけど、皆もそれぞれ考えて欲しい。家族や友達との事もあるから。」

獄「オレは十代目について行きます。」

山「分かった。オレも考えてみるぜ。」

了「うむ……。未来でのような事があるやもしれぬという事だろう。分かった。」

ラ「オレっちはマフィアだもんね。」

ク「私も考えてみる。」

それぞれの眼差しに私も頷きを返した。

『VARIA』の外で車の中に皆が乗り込んでいく中、私は少し離れてザンと向き合っていた。

貴「…何も言わなくて決めて、ごめんなさい。」

Ｘ「……お前は自分が何か良くねぇ事をしたと思ってんのか？」

貴「……………………。」

Ｘ「なら謝るな。俺は一言も決意を話せとは言ってねぇ。」

ザンは私がボスを継ぐ事に反対なんじゃないかって想いが、どこかにあった。

だから何かいけない事をしたような気持ちになる。

これじゃ、いつまで経ってもザンに頭が上がらない。

Ｘ「お前がそう決めたのなら、俺はそれでいい。」

貴「！」

Ｘ「どちらにしろ放すつもりは元からねぇからな。近い方が安心だろう？」

貴「そういうっ……！」

一世一代の決断がまさかそう返されるとは思ってなかった……。

気を張っていたのが拍子抜けで、私は肩を竦めた。