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「…じゃあなんなんだよ、全部」
あの北斗の言葉が本当なら鈍い俺でも勘違いしてしまう。全部俺のためなんじゃないかって、思ってしまう。出かけた時にどこか落ち着かなかったのは俺が珍しく誘ったのに慣れていなかっただけじゃないの？あの日ずっと楽しそうだったな、なんであんなに、ただの幼馴染の俺と出かけてるだけなのに、なんでだったんだろうな。
そう柄にもなく悶々としたまま歩いていればあの日一緒に来た雑貨屋の目の前で「あ」とAが見つめていたネックレスを見つけて思わず手に取ってしまう。
…似合うんだろーな、これ。多分。あの日俺の前ではずっと着てたパーカーみたいなダル着じゃなくてちゃんとスカート履いて、それで、なんからデートみたいだなって、思ったんだよな。なんて思っていれば気づいた頃にはレジにネックレスを差し出していてはっとする。何してんだ俺マジで。
「プレゼントですか？よろしければ包装しますよ」
にこにこと笑った店員さんが「リボンのお色も選べますので」と笑うのに「… どうなんですかね、今の俺から貰っても嫌かもしれないです」でもラッピング、してください、なんて何も知らない人にこんなことを言ってしまう。やべ、困った顔してる、意味わかんないよな、申し訳ない。
ぷらぷらと俺には似合わないピンク色の紙袋を手からぶら下げて歩いて帰る。でも都合のいい解釈にするにはコンビニで前抱き合ってたよな、やっぱり付き合ってね？なんか色々手に持ってたし事故だよって北斗もAも言ってたから、そうなのかもしれないし多分そうだけど、なんだか冷静に判断できない。なんかイラついたし、これは八つ当たりか。
でもこの紙袋をどうやって渡すのだろうか。大嫌いと言われた今、Aに手渡す勇気は俺にはない。大嫌いが本当だったら、きっと嫌でしかない。
「これ、Aに渡しといてくれない？」
「…俺から？」
慎太郎から渡せば？今日バイトいるけど…ときょとんとした北斗に「いいから、忘れ物なんだよね」と見え透いた嘘を吐けば「…わかったよ」渡しておく、と北斗が何かを悟ったのか微笑んで「じゃあね、また明日」と背中を向けるのをぼうっと見つめる。全部申し訳ないな、巻き込んで、傷つけて、結局何がしたかったんだろうな。
そんなことを思いながらAともろくに話さない日々を送っていれば一大行事、体育祭が目の前に迫っていた。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
