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「北斗のこと」
「…は？」
好きなんでしょ？今の反応見てもう俺は確信したね、と一度悲しそうに見えた顔はどこに行ったのかわからないぐらい慎太郎は清々しい笑顔で私の肩を叩く反面、私は何も理解ができなくて何も言えないし、何も考えられない。
好き？誰が？なんで松村くんがここで出てくんの？慎太郎は何考えてんの？バイトが同じなだけだよ、今日一緒に出かけたのは慎太郎で、好きなのも慎太郎で、でもなぜか慎太郎の口から松村くんの名前が出てきて、それで、
「…なにそれ」
「だから今日誘ったのももうAと出かけられなくなるかなー、北斗と付き合ったらいくら幼馴染とはいえ2人では出かけられなくね？って思ってさ」
北斗わかりにくいけどマジいいやつだよ、バイトも同じだしこの前教室の前でも仲良さそうだったじゃん、ぺらぺら、饒舌な慎太郎に何もついていけないままぼんやりと耳だけで言葉を聞き取る。どういうこと、慎太郎はまさか私が松村くんのことを好きだと思ってるの？勘違いだよ、そんなの違う、そう言おうとして「しんたろ、」と慌てて口を開きかけるも「しかもさ」という慎太郎の言葉で何も言えなくなる。
「髪とかそういうの色々やり出したのとバイト始めた時期とか被ってんじゃん？」
「は？」
「みんなで話したときにさ、樹が「それお前好きなやつできた時のやつじゃね？」みたいなこと言ってて考えたら、あれ？時期被ってね？仲も良さそうだしマジじゃんってなったんだけどなかなか聞けなくて」
もう何も、言う気にならなかった。なれなかった。あ、つらい、こんなに何も言えなくなるぐらい辛いと涙も声も何も出ないんだ。全部慎太郎じゃなかった、慎太郎のためにしたものは全部違う人のためになってたんだ、なにそれ、そんなの、どうすればいいの。ずきずきと胸ばかりが痛い。唇が震えるばかりで何も出てこない。指先が冷たい、慎太郎のことを見られない、全部が崩れる音が、する。
「なんでそんな沈んでんの？うまくいくって、北斗もAのこときっと、」
「…い」
「え？」
「慎太郎なんて、大っ嫌い」
ニコニコと笑っていた慎太郎がその一言で上がっていた口角を下げて何を考えているのかわからない目が私だけを捉えて「…なんだよそれ」と低い声で呟く。なんだよそれ？そんなのこっちのセリフだよ、なんだよそれ、全部終わった、そう思えばすっと背筋が冷える感覚がして慎太郎に背中を向けて「…ごめん、1人で帰る」と告げて歩き出す。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
