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「ボスはオズワルド・コブルポット、彼一人。」
ガツリ、と歯が裏頬に当たって肉が切れる。
意外にも手加減無しで殴ってきた友人を睨めば、肩を竦めて「仕事だろ。」と返された。
「聞き飽きたわぁ。何なの?彼が好きな訳?」
「いいえ。彼はボスです。」
「バカの一つ覚えね。爪を1枚剥がして。」
意識が飛びそうなくらいの激痛を味わった後、私の指先には一つだけ真っ赤なマニキュアが塗られていた。
彼女はジロジロと私を上から下まで眺め回し、眉をひそめて口を開く。
「ねぇ、ハイヒール履いてるの?殺し屋なのに。」
「好きなの。」
「アハ!ねぇザーズ、殺し屋がハイヒールですって!貴方でさえ履かないわよね?」
「履きませんね。」
「バカよね?」
「バカです。」
「この尻軽男。」
低い声で呟けば彼は目を見開いて笑い、「傷付いたよ。」と口パクで伝えてくる。大袈裟に身振りまで添えて。
「分かったわ、貴女私の事好きなんでしょ。昔の私みたいになりたいんだわ。」
「まさか。あんな趣味の悪い人間に憧れる訳ないでしょ。」
「本当生意気ね。何様のつもり?ザーズ!もう1つ殴ってあげてぇ!」
キャハハ!と甲高い笑い声をあげ意気揚々と命令を下す。
ふぅ、と溜息を吐いて彼が拳を振りかぶり、悪く思うなとでも言いたげに首を傾げてからまたもや思い切り殴られてしまった。
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岡P(プロフ) - 初めて読ませて頂きました。どのお話もとても面白く楽しませてもらいました。これからも素敵な作品楽しみにしています。 (2022年3月9日 21時) (レス) id: eaa010ae17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2020年4月30日 21時