[アメコミ] 瓶で殴る。 [短編集] (ページ3)

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執着:グリーンランタンページ3

「よぉ可愛い子ちゃん。ボーイフレンドと密会か？」
「え、ハル、なんで、」

にっこりとハンサムな笑みを浮かべてひらひら手を振る様はすれ違う女性が思わず振り向く程輝いて見える。
だが彼の内心はそうでは無い。怒りや殺意が入り混じるドス黒い感情で満たされている。

自分と会う時よりも可愛い格好、可愛い髪型、可愛い化粧、バッグ、靴、ネイル。
挙げればキリが無い程に彼女は着飾っていた。
自分以外の男と会う為に。

「なぁ、ここじゃアレだろ。取り敢えず家に行こうぜ。ゆっくり話してぇ。」
「っ、や、もう、無理。無理だよハル。私、私もう、」
「黙れよ。」

今にも泣き叫びそうな彼女に冷たく怒気を含んだ声で言い放つ。
コソコソしないで堂々と別れ話でもしてくれて方がまだ未練も無かっただろうになぁ。綺麗に別れられただろう。

だが彼女は浮気をした。俺よりも綺麗な格好をして会っていた。当たり前だが俺に話す事は無かった。それが許せなかった。

ガタガタと震えてその場を動けない彼女に歩み寄り、優しく髪を撫でながら耳元でこう言ってやる。

「なぁ、簡単に逃げられると思うなよ。俺はお前が好きなんだ、俺の了承無しに別れたつもりになるんじゃねぇ。」

フッ、フウッ、と彼女の息が荒くなり今にも過呼吸を起こしてしまいそうだ。いやもう起こしてるか？

ちらりと横を見ると痴話喧嘩見たさや面白好きの野次馬が数人出てきていたのでソイツらに笑いかけ「問題ない」とジェスチャーしてやる。
そうすると大体のやつは終わったもんだと勘違いして何処かへ行く。

未だガチガチと震える彼女の手を取り半ば強制的に歩かせる。
このままで終わると思うな、という意志を込めて思いっきり手に力を込める。
「い、いた」とか細く声が聞こえたが無視して歩く。歩かせる。

「ね、ごめん、ごめんハル。もうしないよ、もうしないからぁ！離して、怖い、嫌だ、」
「今更離すかよ。別れたいなら別れてぇって言えば良かったんだ。なんで言わなかった？」
「だって、だって、怒るかと、おもっ、て、」
「泣くのは後にしろよ尻軽。これからもっと泣く事になるんだからよ。」

ようやく着いた俺の家を見るや否や力ずくで離れようとしてきたので思わずリングを使って手錠をかけてしまった。
信じられない、とでも言いたげな目で緑の手錠を見詰めている隙に鍵を開け彼女を玄関に押し込める。

「なぁ、溜まってんだ。最後に思い出でも作ろうぜ。」

彼女を見下ろしながらそう告げる。