【gnsn】最近やけに…【魈】 (ページ2)

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「……聞いて良かったの？そんな大事な話…」
「空にはいつか話そうって思ってたから。ざっくり話しちゃったから分かりずらかったらごめん。…年寄りの昔話を聞いてくれてありがとう」
「ううん。お礼を言いたいのは俺の方だよ。
…層岩巨淵で起きたあの事件、一瞬だけ見た謎の竜の正体が樢蛇だって事を知れて本当に良かった……魈を助けてくれてありがとう」
「私はただ開いた穴に蓋をしに向かっただけ。魈を助けたのは鍾離だよ。その礼なら鍾離に言ってあげて」
「鍾離ってやっぱ凄い奴だな…だけど樢蛇も鍾離に負けないくらい凄いと思うぞ……あの気味の悪過ぎる大穴を塞ぐなんて…
体は大丈夫なのか？どこも痛くないか？」

「大丈夫だよ。ああいう事は慣れてるからね。心配してくれてありがとう、パイモン」

銅雀を祀っている寺の近く。私と空、パイモンとで層岩巨淵で起きた出来事について話していた
ふと空を見上げればいつの間にか日が落ちて綺麗な星空が顔を出し始めてた。私はそろそろ戻った方がいいよと空とパイモンに伝える

「そうだね。戻ろっか。
…樢蛇、無理しちゃダメだからね」
「分かってるよ。あと樢蛇じゃなくてAでいいから。じゃあまたね」
「おう！Aまたな！」

手をひらひらと振りながら2人を見送った
……無理しちゃダメ、か
多少無理をしないと駄目な事もあるもんなのよ。きっと魈だってそうだったろうし…まぁ、あれは自己犠牲過ぎるけど

そしてさっきから気配を感じる為、その人物に声をかけた

「魈。居るなら顔出せば良かったのに」

私がそう言うと風元素を纏いながら目の前に現れた

「いい。あいつにはもう我の事を話してる。名を呼ばれた時に会うだろ」
「私は魈の名前呼んでないのにこうして会いに来てくれるのにね？」
「…」
「そんな難しい顔しないで。私は魈に会えて嬉しいし退屈してないよ。ありがとう顔見せてくれて」
「…礼などいらぬ。我がしたい事をしてるだけだ」

え、我がしたい事…？
初めて聞いた言葉に目を見開くとふうっと夜風が私達を通り過ぎる
…魈も随分素直になったなぁ。空達と出会ってから少しずつ表情も性格も柔らかくなってる気がする
鍾離もそう言ってたし…魈も少しずつ人の世に触れようとしている事が嬉しい。あの魈がここまで…

「…何を呆けてる。我らも望舒旅館に戻るぞ」
「ごめんごめん、行こっか」

そしてここ数年、やけに魈が優しくなった。
…自ら私の手首を取るくらいにまで