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「 はぁ…。全く、周りが張り切ってどうするんだ 」
「 楽しみじゃないの？ 」
「 いや、そういうわけではないが。この歳になって盛大に祝われるのに慣れていないだけだよ 」
「 そう。ちなみに、ディルックは何か欲しいものとかないの？ 」
「 ないよ。…いや、あるにはあるが、手が届きそうになくてね 」
手が届きそうにない？ ディルックほどの権力と財力があればこの世の大抵のものは手に入りそうなものだが、一体それはどんなお宝なのだろうか。想像もつかないが、彼に手に入れられないのなら私には到底 手が届きそうにない。どうしたものか。
暫く私が考え込んでいると、ディルックが「 君の誕生日は？ 」と首を傾げた。
「 私はずっと奔狼領で暮らしてたから、あったとしても知らない。気にしたこともなかった 」
「 じゃあ君と出会ったあの日を誕生日にしようか。そうしたら来年は祝えるだろう 」
「 あの日を……？ それに来年も私はここにいてもいいの？ 」
私がそう言うと、ディルックは当たり前だと言わんばかりに力強く頷いた。
食べてしまった葡萄代の分だけ働いたらお役御免かと思ったが、私はずっとここにいてもいいみたいだ。いや、実際 給料が出ているのだから葡萄代云々は無かったことになっているが……。
「 僕はこれからも君にいてほしいと思っている。叶うのなら、残された時間の全てを僕に捧げてほしいとも 」
「 うん。心配しなくても、私はずっとメイドとして働くつもり。ワイナリーの皆のことが私は大好きだから 」
「 待ってくれ。ごめん、僕は何を言っているんだ。忘れてくれ、本当にすまない 」
「 ん？ 何を焦っているの、ディルック。ちょっと、あ、ディルック、かけすぎだ。しかもそれは粉チーズじゃない、胡椒だ。お願い、落ち着いてディルック 」
ディルックは片手で顔を覆い隠し、もう片方の手で胡椒をひっくり返して料理にかけている。完熟トマトのミートソースはあっという間にダークマターと化してしまった。
別にディルックは謝るほどおかしなことを言ったわけでもないし、それに対して私も普通の返答をしたのに、一体 何が彼をここまで焦らせているんだ。
「 僕は冷静だ。あぁ、落ち着いているさ。粉チーズと胡椒を間違えたりなんて……ごほっ 」
「 だから言った！ どうして食べるの！ 」
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しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (
レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - ふわなさん» こんにちは！コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。しばらく毎日更新ですので良かったらまた覗きに来てください。 (2022年11月22日 18時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - コメント失礼します！お話がとっても素敵で読むのが止まりませんでした！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2022年11月22日 13時) (レス) @page14 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
