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カウンターの隅には空っぽの酒瓶がいくつも寄せられていた。これだけの数の酒を一晩で空けてしまうなんて、さぞかし盛り上がっていたんだろう。きっと美味しい料理も並んでいたんだと思うと、どんどん気分が落ちていくのが分かった。
カラン。誰もいないはずなのに二階から音が聞こえた。私は幽霊かもしれないと思って身体を強ばらせ、静かに階段を上って音の正体を確かめに行く。
「 嘘だ 」
そこに広がっている光景が信じられずに口からは言葉が零れる。だってそんなはずがないじゃないか。これは幻覚か、もしくは都合のいい夢を見ているのではないか。
「 どうして 」
ディルックは一人でお酒を飲んでいた。彼はお酒が嫌いだと話していたのに、床に転がっている酒瓶はかなりの数だ。テーブルに突っ伏していたディルックは私の声に反応して顔を上げた。アルコールがかなり回っていて瞳はとろんとしている。
私は慌てて彼の手から樽ジョッキを引ったくり、手の届かないところに置いた。
「 何をしているの！ 飲みすぎだ！ 」
ディルックは何も言わず、ぼーっと私のことを見上げていた。いつもの彼からは想像もつかないその姿に言葉を失う。
「 店の片付けなら私がしておく。だから貴方は今すぐ屋敷に……帰れないか。騎士団はどうだ。一日くらい泊まらせてくれる。今からでもガイアに 」
ドン！！ ディルックが強く拳をテーブルに叩きつけて、空になっていたいくつかの樽ジョッキが床に落ちる。私がそれに意識を奪われている間に、ディルックはゆらりと立ち上がって距離を詰めてきた。足取りはしっかりとしている。
「 また、ガイアか 」
「 え 」
「 ようやく君に会えたのに。……君は、僕よりも先にガイアの名前を口にした 」
言葉だってしっかりと紡げている。お酒の影響を受けているとすれば、僅かに頬を染める赤みくらいだろう。
「 誕生日に思い入れなんてなかった。周りに言われてそういえばそうだったなと思い出すくらいだからね。けど、僕はどうやら…。君には祝ってほしかったみたいだ 」
「 ごめん、ディルック。私、実は、その 」
「 皆が僕のことを心配してたけど、僕はいつか君が来てくれるんじゃないかと思って待っていた 」
「 ……うん 」
「 そうしたら、ほら。君は来てくれただろう 」
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しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (
レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - ふわなさん» こんにちは！コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。しばらく毎日更新ですので良かったらまた覗きに来てください。 (2022年11月22日 18時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - コメント失礼します！お話がとっても素敵で読むのが止まりませんでした！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2022年11月22日 13時) (レス) @page14 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
