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『え……』

一瞬、時間が止まったのかと思った。
それほど、永瀬さんの発言が衝撃的だったのだ

「愛って、目に見えへんやん。
でもさ、結婚したらそれは形になる訳やし」

『……』

「その形をあげられへんから…
どうやって愛を証明したらいいかって、ずっと考えてたんよ」

『……』

「答えはまだ見つかってへんねんけどな」

永瀬さんはすごくキラキラした目をしている。
羨ましいくらいに、綺麗な瞳だ。

「Aの隣で、一生掛けて見つけ出すつもり」

『…見つからなかったら、?』

「もし、そうなら、それが答えなんかもな」

『え?』

「答えはないって事。
証明なんかせんでも、分かってくれてるって事」

素敵だなあ、
心からそう思った。

「電話してきた時、声暗かったけどさ。
俺も悩んでるから、お前も悩め。考えろ。」

『…永瀬さん』

「ん、」

『私も永瀬さんみたいにキラキラした人になりたいです』

「なれる。俺以上に」

永瀬さんがふわりと笑った。
こんなに優しい笑顔初めて見た気がする。

「そろそろ行くぞー、腹減ってんねん」

『はい!』

Aさんがどんな女性なのか分からない。
だが、永瀬さんの双子だと知り、憧れの気持ちが膨らむ。

そんな気持ちで永瀬さんの後に続く。

「ただいまーAー!」

『お邪魔します…』

パタリと扉が開き、綺麗に掃除された家が見えた。
食卓に、スーツの上着を脱いだ神宮寺さんが座っていて。

「ふわこ、こいつがA」


一瞬にして、息が止まる。

キッチンから出てきたその人は、
忘れたくても忘れられないほど脳裏にこびりついて離れないその人な訳で。

「永瀬Aです」

ニコリと、写真と同じ顔で微笑んで、
私に優しく手を差し出した。


見惚れるほど綺麗な人。
写真だけで、紫耀さんにあんな顔をさせてしまう人。
永瀬さんに無償の愛を貰った人。

私がずっと、否定していたかった人。
それでいて、私がずっとなりたかった人。


『…一条です』

あえて、名前は名乗らなかった。

……名乗りたくなかった。


Aさんの真っ白な手を握る。



そこで全て気付いてしまった。


''「Aが、好き。」''

''「大切。」''


あれは、私に向けられた言葉ではなかったのだと




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林檎(プロフ) - はじめまして!最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです!本当に大好きです!更新無理のない程度にお待ちしております!! (2020年11月3日 15時) (レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです!主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました!紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります!ぜひ更新してください!!! (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります!更新お願いします!m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:C-N | 作成日時:2017年2月5日 1時

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