検索窓
今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:691,936 hit

024 ページ24

.





「で、ついに告白された訳だ」

次の日。大学の食堂で、ポテトをつまんだミヤちゃんがニヤリと笑った。

『…告白、なのかな……』

思い出すだけで顔が熱くなる。
昨日はたくさん紫耀さんを知れた。

「好きって言われたんでしょ?
それは告白だって!ねぇ、優太!」

「俺かよ!つか知らねえよ!」

「そんな事言っちゃってー」

ツンツンと、ミヤちゃんが優太を突くと
優太が嫌そうに顔をしかめた。

「つーか、A!
お前酒飲んだのか?しかも初対面の男と!」

『…まあ、』

「危ねえ!危機感持てよ
大体、Aは無防備なんだよなーいや、馬鹿だ!」

バンっと、テーブルに両手をつき
かなり怖い形相の優太がこちらを見る。

『…なにそれ』

「紫耀さんだっけ?
そいつも、絶対おかしいだろ!」

『……』

「ちょっと、優太!」

「お前が子供だから、からかってんじゃねえの?」

優太の言葉にドキリとする。
…満更でもないからだ。

私のこと、ずっと興味なさげだった紫耀さんが
突然好きだと言ったのだ。

「なあ、A。
そんな奴、やめちまえよ」

あの日、私の背中を押してくれたのは優太だった。

女は追いかけられる生き物だと教えてくれたはずだ。

『優太には分かんないよ』

「…A」

『好きで好きでどうしようもなくて。
どんなに辛くてもいいから側にいたいって。
そんな気持ち、優太には分かんないよ!』

優太は男からも女からも、
誰からもすごく愛されている。

追い掛けても振り向いてもらえない哀れな奴の気持ちなんて分かんないよ。

……分かんないから。
そんな簡単にやめろだなんて言えるんだ。

「なんで分かんねえんだよ、」

珍しく声を荒げた優太が、近くにあった鞄を勢いよく掴み、私達に背を向けた。

「優太、落ち着きなよ」

ミヤちゃんが、急いで止めようとしたが
優太は振り返る事なく行ってしまった。

『……紫耀さんにも、優太にも、からかわれてんのかなあ』

ポツリと呟く。
その瞬間、ミヤちゃんのポテトを食べる手が止まった。

「…心配してんだと思うよ。
優太はバカだけどさあ、バカなりにいろいろ考えてるから」

『……』

「ちゃんと謝りなよ?
ああ見えて、絶対傷付いてるから」

全てを分かったようなミヤちゃん。

紫耀さんも優太もミヤちゃんも、
世界って、分からないものだらけだなあ。




.

025→←023



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (980 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3686人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

林檎(プロフ) - はじめまして!最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです!本当に大好きです!更新無理のない程度にお待ちしております!! (2020年11月3日 15時) (レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです!主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました!紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります!ぜひ更新してください!!! (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります!更新お願いします!m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:C-N | 作成日時:2017年2月5日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。