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そもそもこの人が誰で、何故私の名前を知っているのか。
「お前の名前、A?」
『そうですけど』
「まじかよ」
『何ですか?』
「…いや、なんでもないわ」
煮え切らない態度のイケメン。
『一条Aです』
にこりと笑う。
大抵の人は私が社長令嬢だと知ると、
一気に態度を変える。
「あー通りで、
子供がオフィスにいる訳や」
しかし、こいつは。
ニヤニヤと笑いながら、私の頭をくしゃっとした。
『……』
「俺は、永瀬廉。25歳」
25歳……
紫耀さんと同い年だ。
『……あの、私ってやっぱり子供ですか?』
「まあ、成人はしてないよなあ」
『子供って、恋愛対象外ですか?
25歳の男性は成人した女性が好きですか?』
「ちょ!早まるなって!
悪いけど俺には女おるから!どちみち無理!」
『……え?』
「悪いなあ、まあ、可愛らしいとは思うで?」
『…あの、違くて…………』
「…は?」
『私の好きな人が永瀬さんと同い年で…』
ゆっくり傾げられる首。
言葉の意味を理解した瞬間、赤くなる顔。
「……俺、めっちゃ恥ずかしくね?」
『あ、ははは…』
あーと唸る永瀬さんが子供っぽくて
笑っていると、また頭をくしゃくしゃにされた。
「おい、ふわこ。」
『…え?』
「お前のあだ名。
Aって呼ぶと、なんかアレやん。」
『はい?』
「俺の女と名前一緒。」
『ああ、なるほど……』
「でも、一条って呼ぶと友達っぽくない?」
『……は、はあ』
「だから、ふわこ!
なんか雰囲気に合ってない?俺あだ名付けるん得意やねんか!」
25歳と聞き、思わず、突飛由も無い事を聞いてしまった私が悪い。
しかし、初対面の人にあだ名を付けるこの人もかなり意味不明だ。
「なあ、ふわこ。今から呑み行かん?」
『はあ?私、19ですけど』
「四捨五入したら20やん」
『……』
「そんな目で見るな!
お前の相談乗ったるから!な?」
ニコニコと笑い、答えも聞かずに
私の腕をピシッと掴んだ。
『一応確認ですけど、酔ってます?』
「はあ?仕事しててんで?シラフやシラフ」
そのままグイグイと歩き出した彼に、
私は抵抗を諦めてついて行く事にした。
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林檎(プロフ) - はじめまして!最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです!本当に大好きです!更新無理のない程度にお待ちしております!! (2020年11月3日 15時) (レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです!主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました!紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります!ぜひ更新してください!!! (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります!更新お願いします!m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:C-N | 作成日時:2017年2月5日 1時