チョコミントフラペチーノ クリーム多め

21 ページ21

いつも無表情の北斗が恥ずかしがるもんだから、私もなんだか恥ずかしくなってきた。

別に、ハグとかいつもしてるじゃん。

「Aはまだ抱き枕と寝てんの？」

「…は？」

「だって実家の部屋のベッドに、置いてあったじゃん。
カワウソの抱き枕。」

…知ってたんだ。

いつも北斗が部屋に来るときは、からかわれそうだから布団の中に隠してたのに。

「あと、寝言も言ってた。」

「何て？」

そう言ったらまた、北斗は恥ずかしそうに目を伏せる。







…想像はつくけどね。

実はあの抱き枕には名前があって、「北斗」っていう名前にしてたんだ。

いつも寝る前に北斗に話しかけながら寝てたから。

きっとそうだ。

私はカワウソの北斗と間違って、本物の北斗に抱きついてたんだ。

「Aってけっこう、俺のこと好きだった？」

とっくに再起動してた北斗は、からかうように私のおでこを指でつついては、

「早く食べな。」

ってごはんをよそってくれた。

北斗のつくってくれた朝食は、純和食でとても普通の大学生男子が作ったとは思えない代物だった。

「北斗って料理できたんだ？」

「それって、美味しいって言ってくれてるって理解していいの？」

「うん。
こんなに料理上手とは知らなかった。」

「よかった。
でも、料理を始めたのは大学生になってからだから。
仕方なく始めたんだけど、なんだか楽しくなっちゃって。」

料理だけじゃないよ。

部屋も綺麗だし、洗濯物も既に干されてる。

…って、あれ？

洗濯機なんてあったっけ？この部屋。

「洗濯？
簡単なものは手洗いしてるけど。」

手洗い！？

「分厚いものとかシーツなんかは、コインランドリーでまとめて洗ってる。
特に不自由はないよ。」

…知らなかった。

北斗って、かなり優秀な彼氏じゃない？

家事は完璧で、頭もよくて、何より私のことを大切にしてくれる。

これ以上の彼氏はいないかもしれない。









「Aはどうしてんの？一人暮らし。」

…そんなの、答えられるわけないじゃん。

食事は買ってきたものばっかだし、掃除も散らかってからじゃないとしないし、洗濯だって溜まってから仕方なくしてる。

しかも全て、掃除機や洗濯機の機械に頼ってる状態だし。

そんな私の焦りに気付いたのか、北斗は緩く微笑んでこう告げた。

「別に俺はAには何も求めてないから。
家事はできる人がすればいいし、俺が全部やったっていい。
だからそんなこと気にせずに、お嫁においで。」

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す