八時間目 ページ10
「兄さん見て!床が!!」
十四松の言葉に目を凝らすと、廊下に大きな穴が開いて、三つある通路のうち二つが通れなくなっていた。
「…さっきの地震のせいか?」
「通れるのは、階段へ向かう通路だけみたいだね」
「……君タチ」
「!?」
突然聞こえた声に驚き振りかえる。
「ひ、人魂…?」
俺の呟きが聞こえていたのかいなかったのか、青い人魂が喋り出す。
「君タチガ、次ノ犠牲者カ…」
「犠牲者…?」
「…僕モ君タチト同ジヨウニココニ閉ジ込メラレタ者ダ。…君タチ十人ト、ネ」
「十人…っていうことは、みんなもここに…?」
「じゃあ、探索してけばみんなに会えるの?」
十四松が両手をブンブンふりまわしながら聞く。
「イヤ、…会ウコトハ、デキナイ」
「えー、何で?みんないるんでしょ??」
「確カニコノ学校ニハイルガ…次元ガ違ウ」
「次元?」
「ココハ多重閉鎖空間トイッテ、イクツモノ次元ガ重ナッテデキテイル。ダカラ、同ジ場所ニイタトシテモ、会エナイ。…最モ、死体ヤ、僕ノヨウナ霊魂ニナレバ別ダガ」
「…それでも、探してみる」
俺は、自分に言い聞かせるように言う。
「…マア、イイダロウ。幸運ニモ君タチハ同ジ次元ニ存在デキタ。二人イレバ、知恵モ二倍ニナル」
「色々ありがとう。…行こう、十四松」
「あい!」
人魂に背を向け、十四松の手を引いて歩き出す。
「……最後ニヒトツダケ。ココデ死ヌト、死ンダトキノ痛ミガ永遠ニ続ク。…君タチガナルベク楽ニ死ネルコトヲ祈ッテイルヨ」
その言葉に振り替えると、もう人魂は消えていた。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時