七時間目 ページ9
窓がああだったから不安だったけど、教室の扉は普通に開いた。
「ここは…二階?」
「みたいだね!下に降りたら玄関あるかも!」
「そうだね。…床、軋んでるし、あんま走るなよ」
あい!と元気よく返事し、十四松は廊下を駆け出す。
「…話聞いてた?」
少しため息を吐いて、俺もその後に続いた。
「一階とうちゃーくっ!!」
「……」
二人で並んで廊下を歩く。
「あった!玄関だよ!!」
十四松の指差す方を見ると、下足箱とその先に大きな扉があった。
安心した反面、不安が湧き上がる。
…さっきの窓は開かなかった。
それは、外に面してるからじゃないのか?
それに、外は真っ暗で、出られたとしても帰れるのか?
……駄目だ。いろいろ考えたら、また怖くなってくる。
「…俺が開けてみる」
十四松を下げて、手を掛ける。
…案の定、どれだけ力を入れても扉は一ミリも動かなかった。
見ていられなくなったらしい十四松が手伝っても、だ。
「……どうしよう」
十四松が不安そうにこっちを見る。
何か言おうと口を開いた時、また地面が揺れ出した。
「地震っ…!?」
二人同じタイミングで地面にしゃがみ込む。
しばらく揺れた後、辺りはまた何事もなかったかのように静まりかえった。
「……結構大きかったね」
「うん…、兄さん怪我ない?」
「俺は大丈夫…」
そう答えた時。
_カラ松兄さん…!
「……?」
声だ。
何処かから声が聞こえた。
小さくて、少ししか聞き取れなかったけど、この声は多分。
「一松兄さん、どうかしたの?」
横を見ると、不安そうな顔の弟。
さっきの声は聞こえてなかったみたいだ。
「…なんでもない」
あまり言い過ぎても怖がらせるだけだと思ったので、別の場所へ向かおう、とだけ言って俺は立ち上がった。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時