立場逆転しましょうか

24.テヒョンくんの優しさ ページ24

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勉強を始めてから、約1時間が経った。

比べてしまうのは悪いけど、テヒョンくんよりも断然スムーズに進んでかなり楽。

だけどほんの少しの少しだけ、この静かさが当たり前のはずなのに、テヒョンくんのあのうるさい声が、頭の中に登場してきた。

ああもう、お願いだからどっか行け。







「疲れただろうし、一旦休憩しよっか」


JK「やった……」







ジョングクくんの声のトーンで、相当疲れたんだと察した。

ほんとにこの子は1時間真剣に頑張ったよ。

私がジョングクくんの解いたワークに目を通していると、ジョングクくんが突然、机を軽く叩いた。







JK「テヒョン先輩ってどうですか？」


「テヒョンくん？もうほんとに明るくて、ついていけない」







私が苦笑すると、ふとあることを思い出した。







「そういえばジョングクくんって、テヒョンくんのこと憧れてるんだよね？」







私がそう聞くと、ジョングクくんは大きく頷いた。

そのあこがれの気持ちを否定するつもりはないんだけど、どこに憧れる要素があるのか知りたい。

どういうところが？と聞けば、私の目を真っ直ぐ見て答えてくれた。







JK「僕が高校に入学して何日か過ぎた頃だったんですけど、僕そのとき足を怪我してたんです。松葉杖をつく程ではないけど、普通に歩いてて引きずるぐらい。それで授業の移動で廊下を歩いてたらテヒョン先輩とすれ違ったんです。テヒョン先輩の存在は、校内でも人気なので知ってました」







笑顔で話してくれるジョングクくんを見つめながら頷く。







JK「まあなにも喋らずにすれ違いました。そのあとに階段があって、僕が手すりに掴まりながらゆっくりと降りていたとき、誰がか身体を支えてくれた感覚がして。驚いて振り返ると、テヒョン先輩が支えてくれてたんです。聞くと、すれ違ったときに僕が足を引きずっているのに気づいて、このあとの階段で降りられないんじゃないか、と心配してくださったらしくて」


「優しいね……」


JK「テヒョン先輩って明るいだけじゃなくて、周りのこともちゃんと見てるからすごいな、って思ったのがきっかけです」







ジョングクくんからの話を聞いて、テヒョンくんの優しさが見えた気がする。

テヒョンくんって、サラッと優しいことするからかっこいいんだよね、きっと。







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