滑稽ないのち【ヒロアカ】 (ページ21)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:12,748 hit

20話ページ21

【Noside】

〜翌日〜

「ねぇねぇ、さっき出された宿題教えてー」

「あ、オレもオレもー！」

日当たりのいい広い教室、昼休みは生徒達の楽しそうな会話が飛び交っていた。

昨日のテレビ、授業、ちょっとした恋愛話に受験。

和やかな雰囲気の中、Aは一人小難しい本を片手に頭を抱えていた。

『"精神とは非物質的、形而上の存在"……』

『何よこれ、生物構造以前に根本原理から学べって言うのかしら…』

ー Körper und Geist ー
(肉体と精神)

本の題名から考えると、おそらく海外の医療に関するものだろう。

Aの通う中学は進学校だ。
表では個性の有無を問われないが、代わりに毎年偏差値70を超える難関校でもある。

実質ここに通うAも非常に学がある。

だとしても、およそ中学生が読む様な内容ではない。

ドイツ語なんて尚更だ。

『外的な刺激と内的な感覚……なるほど、これならいけそうね。』

『前者なら物理量として測定できるんじゃないかしら……うん、やっぱり』

男子生徒「ねぇねぇ治崎さん。」

『…』

男子生徒「治崎さん理数系得意だよね、次の物理教えてよ〜」

「うわっ、お前宿題忘れたからって他人にやらせんなよ〜！」

「かわいそーじゃぁ〜ん！」

どこか揶揄った様な笑い声が聞こえる。
大人しいクラスメイトを軽くイジっているつもりなのだろう。

『……私、先生に呼ばれてるから』

男子生徒「え、あ…」

『宿題なら、他の人に頼んで』

クラスメイトを背に、Aは本を持ってそそくさと教室を出た。