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岩「Aって本当アホだよな」
「お？喧嘩か？」
居酒屋一室、笑いながらビールを飲むひーくんは歳の割にやけに落ち着いて見える。
「アホって…私そんなアホかな」
岩「うん。何も考えてないようで考えてるし、
考えてるようで考えてない」
「なにそれ(笑)」
誰よりも私の事を理解してくれるのは昔からひーくんだったから、だからこそ私もひーくんにだけはいつも本音で話してきた。
・・・だから彼が何を言いたいかなんて正直わかってるんだ。
岩「…ふっかの事、本気なの？」
「んー？」
岩「本気じゃないなら振り回すのやめな」
「わかってるよ、そんな事」
「わかってねぇだろ、」とひーくんの長い手が飛んできて軽く頭を叩かれたから、
「いたっ、」と大袈裟にすれば、それにひーくんが笑って私を見つめている。
「…本気か、なんて分かんないよ」
岩「は？自分の気持ちなのに？」
「んー…私にはふっかが全てだったからね」
10歳でこの事務所に入所して15年。
スカウトで入所したから同期なんてものもいなくて、
入所が近いふっかはずっと私のお兄ちゃんだった。
…いい事も悪い事も、全部をふっかに教えてもらった。
「ふっかが大切な人なのは昔からそう。
それが恋愛かは…正直分かんないけど」
岩「…それに振り回されるふっかの身にもなれよ」
「…振り回した？私」
岩「自覚なし？」
「振り回された記憶はあるけど、振り回した記憶はない！！」
「はぁ、」ってため息がこぼれ落ちるのが聞こえて、
動かしていた箸を止めれば困ったように笑うひーくんがいた。
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作者名：えんちゃん | 作成日時：2020年10月26日 0時
