独りの少年と五年生。

不思議な子(１)：雑渡視点 ページ29

雑渡さんと主の関係性について。

ついでに、作者が短いと言っているのは文字数が1000字以内の話です。
いつも短くてすみません。











最初に見た時は、普通の子供だと思った。

その印象が根底から覆されたのは、合戦場の下見に行った時だ。


町から集落にでも帰るのか、少し暗い山道を歩いているのを、木の影から見ていた。


獣に襲われでもしないかと、何となく観察していただけであったが。



その子が急にこちらを向いた。

風を切る音と共に、顔のすぐ横を何かが通過して行った。
タンッと音を立てて、後ろの木に刺さる。

見れば、苦無だった。



その年で一番驚いた出来事だ。


A「あれ？気のせいか…」


…近頃の子供は、気配だけで殺しにかかって来るのか？


頬に垂れた血を指で拭い、自分が薄らと笑みを浮かべているのが分かった。





興味が湧く。


一般人に見える、無垢な子供が苦無を投げてきた事も。


それが恐ろしい精度だった事も。






全部全部、気になって仕方がない。

つい執着してしまうのは、自分の悪い癖だった。

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