独りの少年と五年生。

(３)：八左ヱ門視点 ページ19

学園の正門が見えて来る。
五年間通り続けて、もう見慣れたものだ。


するりと学園内に侵入する。
辺りをうろうろとしていると、真後ろから声が聞こえた。




小松田「あっれぇ？誰か、御用ですかぁ？」

八左『…うわっ！』



思わず飛び退く。

多分、先程の体育委員会の様子を見るに、俺のことは認識できないのだろう。
姿も見えず、声も聞こえない。

それなのに…


八左『七松先輩と言い、小松田さんと言い……気配に敏感な人には見えるようだな』

全くもって、心臓に悪い。


深呼吸して落ち着かせている内に、小松田さんは別の侵入者の所へ行ってしまった。


…前々から思っていたのだが。
サインさえ貰えれば学園に入れてしまうと言うのは止めた方が良いと思う。


これは無事に帰還出来たときに言う事にしよう。

今は勘右衛門たちを探すのが先だ。







医務室へ向かった。
最後に見失った時には、皆、多少の怪我をしていた。


合戦場から無事に帰れていたならば手当を受けているだろう。





医務室へ辿り着く。


無い唾を飲み込み、襖を通り抜けた。



















八左「…………………っ！！」



居た。

良かった。


無事だった。






身体のあちこちに包帯が巻かれており、見るからに痛々しい。
苦しそうに呼吸をしている。


それでも、勘右衛門、兵助、雷蔵、三郎の四人が全員布団に寝かされていた。


俺は一気に安堵して、膝から崩れ落ちた。

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