ゼロ距離まで【2】

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里美は大会前に澪奈に告白をしてフラれていた。その帰りにどこで見ていたのかわからないが隼人に声をかけられ動画を撮ってこいと言われ一時の感情だけで行動に移してしまった。

「悪いと思った。でもその日はフラれたこともあってイラついてて…その場でOKした。」
「本当に隼人だったの…？」
「ああ。それからその撮った動画はアイツに渡してどうなったかは知らない。」

Aは信じれないというように顔を覆う。まさか隼人がそんなことをするなんて。Aや澪奈にとって危ないところを助けてくれたヒーローだったのにどうしてそんな事をしたのかわからない。

「でも俺アイツと会った時に変だと思ったんだよ。」
「どういう事？」
「俺は景山にフラれたからという理由があった。宇佐美もな。でも甲斐には理由がない。」

話を聞いていた全員は考えるように手を顎に持っていき各々推理しているようだ。
隼人も澪奈を好きだったとか、知らないところで二人が喧嘩をしていたのではとか、澪奈に対する劣等感じゃないかとか憶測は上がるものの確実性はないし本人以外が考えても正解は出ない。
Aはようやく里美の話を飲み込み息をこぼす。

ちょうど上から先生が昼ご飯取りに来いと声をかけてくれ、もうそんな時間かと時計を確認すると13時を回っていた。

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