ゼロ距離まで (ページ7)

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我先にと押しのけていくみんながスローモーションの映像を見ているかのようにみえる。
Aはその場で動けず放心していると柊が近づいてきて目線を合わせるためしゃがんだ。

「逃げないのか？」
「...逃げたい...、自分から。」
「お前らしいな。」

小さく笑うとさっきのように優しく暖かい手が頭を撫でた。

Aが外に出ないと分かったのかそれ以外の生徒は廊下に飛びだし現状を見てパニックになっていた。
それをじっくり観察し爆弾だと声をかけると全員の視線が柊に集まる。
Aは顔だけを廊下に向けて彼を見つめ続けた。
これからどうなるのか、10日間で答えを見つける事が出来るのかみんなで解決する問題、その問題は想像しているものなのか。わからない。

「先生が爆破させたの？」

逢沢が聞くと今まで見たことがないテンションでピンポーンと楽しそうに柊が答える。

「誰かっ！誰か助けて！！！」

その掛け声を筆頭に数名の生徒が爆破で落ちてきた瓦礫に向かって声をあげ、助けを求めている。きっと誰も来ない。それだけはAにもわかった。そうやって先生はだれにも邪魔されず私達に課題をさせるのだ。

「むーだーだーよ！」

ほら、先生は全て計算して動いている。私たちのことをきっと誰よりも知っていてそれでこういう事をしたに違いない。

「助けは来ないよ。みんな自分の事に必死だ。だからまた爆発しないように教室に戻ろう。Aは大人しく教室にいるぞ？」

さぁ戻れ戻れと手を叩き生徒達は爆弾に注意しながらゾロゾロと教室に戻ってきた。
恐怖と怒り、どうして？とほとんどの生徒がそんな顔をしている。