ゼロ距離まで (ページ6)

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突然のお知らせに誰もが息を呑む、というか呆気に取られている。
逢沢がどういうことかとみんなを代表して聞くと先生はゆっくりと喋り始めた。その内容は自分の目的が達成されるまでこの教室に全員を閉じ込める必要があると言う。
目的...、何が目的なのかまだ検討もつかないが私の課題も10日までに導き出さなければいけない。それと関係しているのだろうか。

案の定、香帆は先生の発言を滑っている、涼音は卒業式前だから浮かれたのかなどと茶化す。

「ねぇもしかしてさぁ？卒業に関わる重要なことってこれぇ？」

唯月は早く帰りたいオーラを出しながら机に肘をつきながら聞く。それに対して先生はそうだよと小さな子供に言い聞かせるようにゆっくりと言い放った。

「卒業する前にみんなで解決しておかなければいけないことがある。」
「...。」

それを聞いてAの目が泳ぎ動揺した色に変わったのを柊は見落とさなかった。

「アホらし。帰るぞ。」

甲斐は鞄をもつとドアを開けようとしたがまったく微動打にしない。

「扉はあかないよ。特殊な鍵をかけたから。」
「さっきから訳わかんねぇ事いいやがって、さっさとドア開けろよ！」

勢いよく胸ぐらに掴みかかる隼人を今までの先生とは違うような動きでねじ伏せポケットに入ってあったナイフを没収する。
石倉の合図とともに他の男子生徒が席を立ち上がり先生へと向かうがそれは全て足蹴られあっというまに床に突っ伏してしまっていた。

昔はアクション俳優を目指していた。淡々という先生の口調は冷たさしか感じることが出来なかった。
いつもの優しい先生じゃない。

その時先生のことを初めて怖いと思った。

「どうやらまだ状況を飲み込めていないようだなぁ。」

おもむろにパソコンを開き腕まくりをすると時計のようなものをタッチした。
ピッと無機質な音がなったのと同時に鼓膜が破けてしまうのではないかというくらいドンという地響きのような音とグラグラと数回建物が揺れた。

「な...なに...？」

いきなりの大きな音にびっくりしたが、先生が扉のロックを解除したと言って全員が雪崩のように廊下に飛び出した。