ゼロ距離まで (ページ49)

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先生はトイレの床に空いた穴を塞ぐために一人で工事をしている。といっても鉄の板で穴を塞いでいるだけだ。
Aはもちろん他の生徒も教室の中には居るが女子の過半数は先生の貼ったマインドボイスの用紙をながめ、男子は後ろで何やら会議をしている。
Aはどちらにも溶け込める訳もなく椅子に座り、事の行方を見ては考えた。
後ろで会議というのはどうやら中尾は死んでいないという説だ。彼女である涼音も食いつき里見が説明をしている。

体操後に真壁も一緒に準備室へ行った時、部屋の中にパンの食べかけが二袋あったというのだ。
遺体の匂いも全くしなかったらしい。
たしかに昨夜準備室で寝かせて貰った時そんな異臭はしなかった。そもそも死臭ってどんなものかすらも分からない。食べかけについては微妙なところだろう。

「先生には爆弾がある。」
「リモコンさえ奪えれば逃げれんだけど...。」

逢沢は爆弾を心配し里見はリモコンを奪うことに気を取られている。そんなことよりやり逃げXという投稿者を探す方が早いんじゃないだろうか。
女子達は黒板に張り出された投稿を見て『ばれたら生きていけない。』『最低だよ。』と口々に言っていた。

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