ゼロ距離まで (ページ48)

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先生はパソコンを見えるように回すと再生ボタンを押す。
何度も見た映像だ。なにか、どこかおかしい所はないだろうかと分からないなりにも調べてみたけど素人にはサッパリでその次の日から澪奈へのいじめは大きくなっていった。

動画が終わると先生は確信めいた表情で言い放つ。

「これは一部を加工したフェイク映像だった。つまり景山はドーピングをしてなかったことになる。でも彼女はこの投稿がきっかけで自さつした。」
「それが原因？」

香帆は先生を震えた目で睨んでいた。それは恐怖からなのか犯人だからなのかは分からない。でも知っている。澪奈はいじめを辞めて欲しいと香帆本人に訴えていたから。

しかしAが思うに本当に香帆が原因で自さつしたようには思えない。たしかに原因の一つではあるかもしれないが結局だれも助けてあげようとしなかった手を伸ばし支えてあげようとしなかった。一番近くにいたさくらやAも手を差し伸べることが出来なかった。

「そこで今日はこの動画を投稿した人に名乗り出てもらいたい。...はい、やり逃げXさん手をあげて！」

ビシッと高く手を上げる先生は犯人探しを楽しそうにしている。まるでゲームをしているように。

「あげるわけねぇだろ。」
「じゃあ夜の20時までに名乗り出れば今日死人は出ない。名乗り出なかったらこの中の誰かが死ぬ。」

直ぐに名乗り出なかったことがそんなに残念なのか先生は肩を落としたかと思うと顔をあげ手を叩いた。

「盛り上がっていこうかぁ。」