ゼロ距離まで (ページ29)

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黙ってしまった香帆を擁護するように香帆に1票、薬使うやつと仲良くなれねぇよな等、声が上がる。
加速させるように生徒達は澪奈の噂を口に仕出した。
スポンサーから金もらって豪遊、男関係派手だった、嫌われるべくして嫌われる人間だった。そんな根も葉もない噂をみんな信じている。澪奈を見てきたからわかる。澪奈はそんな事しない。

「あんなやつ死んで当然だったんだよ。」

隼人が一言だけそういうと今までうるさかった教室が一気に静まり返った。

「あんた、何言ってるかわかっ、」
「ふざけんじゃねぇ！」

Aが隼人に向かっていこうとしたところを押しのけさくらは隼人に蹴りを入れる。まさかさくらがここまでするとは誰も思わなかっただろう。
クラスの全員がびっくりして目を見開き固まっている。

「あんた達になにがわかんの？澪奈のなにがわかんの？澪奈はいつも凛としてて薬ぶつなんてやってなかったし、情報に踊らされて彼女を追い詰めたのはあんた達じゃない。なんで死んでまで澪奈が悪口言われなきゃいけないの。」

転けた隼人を上から睨みつけるようにしてさくらは声を吐き出している。さくらは強い。穏便に済ませることしか考えてない私とは大違いだ。つくづく自分がいやになる。

「許せない。絶対許せない。...けど一番許せないのは私だ。
私は澪奈を被写体としてしか見てなかった。先生の言う通り澪奈が手紙を書いたのはちゃんと意味があった。」

あの手紙に一体何が隠されているというのだろう。

「さくらとは友達になれない。滲んでるの、なれないの文字が。澪奈の涙で滲んでるの。」

さくらはついにポロポロと涙を流しながら手紙の本当の意味を言い始めた。