配属先は摩訶不思議？5

輪廻転生 ページ31

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泣いている犬塚に追い討ちをかけることにはなったが大隈は昨夜亡くなっている事を伝えると彼女は声も出さずただ涙を流すだけだ。きっと自分の研究が間に合わなかった、最後に自分は何もできなかったという後悔からだろう。
静かに涙を流す彼女を見かねた興玉は彼女に少しだけ、真実を伝える事にした。


「90年前あなたは運命の伴侶と出会い次の人生で再会を約束した。もちろんそんな事は叶いません。彼は死に、八百比丘尼(ヤオビクニ)のあなたは生き続けた。でも奇跡が起きた。あなたは再び愛した人と出会った。見た目は違うけど中身は彼のままだったのではないですか？」
「どうしてそれを？」
「数百年生きているあなたが知らないこともこの世の中にはあるんです。」


雨野はそんな何も知らない犬塚を哀れに思ったのか大隈の事を話し始めた。彼が神様だと言うこと、それを伝えると横で大きなため息が聞こえた。


「また余計な事を。」
「まぁまぁ…犬塚さんにも知る権利はありますから。」


Aは興玉を宥めて雨野に続きを話すように伝える。さすがにここまで言ってしまってこれ以上は喋らないでくださいと言うのは犬塚にとって酷だろう。


「世の中には八百万の神様がいて大隈さんもその一人だったんです。神様の魂は死にません。今別の赤ちゃんに移っています。その子が物心ついたらこれまでの記憶は全て戻るそうです。」


雨野は私もつい最近聞いたばかりなので今言った事は興玉さんから聞いたことなんですけどねと頬をかきながら苦笑している。


「じゃあもしかして…」
「はい、90年前あなたが愛した人と大隈院長は同一人物だったんです。あなたが生き続けていれば、きっとまた会えます。」


啜り泣く犬塚の顔はまた会えるかもしれないと言う安心感からか優しい顔をしていた。

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