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蓋から逃れた ページ24

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少女は怖くて怖くてたまらなかった

「自分も彼らのようにソレを宿さねばならないのか」と

恐怖で手が震え、掴んでいた地面を離してしまった時

友達が何とか少女の手を掴み、泣きながら引っ張っている

あと少しで穴から這い上がれると思った

穴のから這い上がった時には、友達は手遅れだった

友達の片脚にはソレの一部が刺さっていて、出血している


「な…んで…」


少女は怖くてたまらなかったが、引き攣った声で友達に聞いた

「何で私を助けたの」「逃げたら、私を見捨てたら…助かったのに」とやけくそ気味に…文句とも取れる言葉を発した


「…っ私ね!先週…のっ月曜で最後の日…だったの」

「人生で…最後の生きられる日だったの」


ソレは友達を、地面に引き摺った


「元々体が弱くて、気遣われて…外に出られても全く楽しくなかっ…たの」

「どうせ…っ何も楽しくないからっ…て諦めてたの」


ソレは中々落ちて来ない友達に、苛々したのかもう一方の足にも…自身の一部を刺した


「でもっ!でもね、__がその時公園に居て、私と遊んで…くれてからね、毎日が凄くっ…楽しくなったの」


友達の足首がもう、少女からは見えなかった


「別にっ何も!治療とか…してないのに、体調がね…良かったの!」

「先生からも……諦められてたのに、一週間も長く生きたのっ…私!」


穴の淵が、友達の膝辺りまで来ている


「だからねっ……約っ束ね!」

「絶対っ……私の分まで!っ生きて!!」


友達の下半身が穴に、沈んでいく


「それでっ………いつか、私の所に来た時に…教えて!」

「待ってるから!!!」


少女は様々な気持ちでごちゃまぜの中、口を開いて


「…っ約束ね!!!!」


涙ぐんで前が見えないけど、少女には友達が涙や鼻水でだらしない顔の状態で…安心したような笑みを浮かべて、ソレに引き摺られて…穴に消えたのを垣間見た

少女は今…恐怖よりも何よりも、


「…約束……守らなくちゃ…」


友達と結んだ約束を守る為に、無理矢理…屋敷に帰った

屋敷の一族が数人、儀式から帰って来ない事に誰かが気付いて穴に向かい…帰って来なくなった

それ以来…少女は血縁者から気味悪がられた


捧げ物(神隠し)の儀式から帰って来た化け物」


少女は何とも思わなかった

ただ無気力に…今も亡き友達との約束を守っているのだとか

自業自得な一族の話→←臭いものに蓋



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作者名:水泳進化人 | 作成日時:2021年8月17日 14時

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