コードネーム＝YELLOWからの報告 ページ40
「じゃあ 今度は私から…」
にのが姿勢をただして座り直す
それをみて 何故かみんなも姿勢をただす
「まあくんの最近のストレスの種の核
についてです」
その言葉に場の空気がピンと張り詰める
「最近 振付け師として来た “Ｘ”氏
彼が関わってると思われます…」
皆も思い当たる節があるのか
なんとなく やはりという空気が漂った
「で ですね
まあくんと“Ｘ”氏 ふたりでレッスンする
なんて聞き付けたので 何とぉ……」
「何と？」
声を合わせた俺達に
にのはどうだと言わんばかりに告げる
「仕掛けちゃいました 無人カメラ♡」
仕掛けちゃいましたって…
唖然とする俺達を尻目に
可愛く ニッコリ微笑んでる
やはり この男を敵にまわしたくない
私もまだ見てないんですけど 何て言いながら
パソコンを開いてなれた手つきで操作し
画面を俺達に向ける
パチッとキーを弾く
画面の中では
必死に踊るまーの後ろ姿と
リズムを取りながら指示する“Ｘ”氏
確かに 求められていることは
今までより 数段難しそうだ
“Ｘ”氏の指導も普段より熱が入っている
けれど俺達が懸念していたような
行動は“Ｘ”氏から見られることはなかった
休憩にはいる
ふたりとも画面から外れてしまい
音声のみが頼りになる
カメラの側にまーがいるのだろう
荒い息づかいと 荷物を探る音
ペットボトルを開けて
水分をとっているらしい
不意に電子音が聞こえてきた
「雅紀の着信音……」
翔さんの言葉に にのがシィッと制する
『はい───』
まーの 『はい』 という言葉が数回
電話は終わってしまったようだった
会話の内容はわからない
程なくしてレッスンが再開される
先程のレッスンの様子とさほど変わらない
だけど……
一瞬
振り返ったまー
何でそんな顔してんだ？
悲しいのか？
苦しいのか？
ツラいのか？
ほんの一瞬だったけど
皆の目に焼き付いた
まーのあの表情
そこからはこれと言って気になる事もなく
レッスンは終わり
“Ｘ”氏が先に帰っていき
残されたまーはその場に大の字に寝転がり
呼吸のたびに上下する身体
疲れからか それ以外ピクリとも
身動きしている様子がない
映像はそこで終わった
しばらくの沈黙
「かかってきたあの電話さ
“Ｘ”氏からだと思うんだけど」
「何でそう思うわけ？」
俺もそんな気がしてるけど
だけど翔さんは何でそう思うのだろう
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作者名：43 | 作成日時：2018年11月17日 10時
