八つ目の灯火 ページ8
｢なに、無力な者を連れていかせるほど私は馬鹿ではないぞ、杉元ォ…？｣
手を後ろで組んだ鶴見さんはカツカツと音を鳴らしながら私の後ろにまわる。
そして肩を掴んでずいっと杉元と呼ばれた男の前に押し出した。
｢わっ、なんのつもりだ鶴見さん。｣
｢杉元、この子の目を見なさい。そうしたらお前にならわかるはずだ。｣
はあ、と不審そうな声が頭上から降ってきた。
目を見ろと彼に言ったのだから私が俯いていてはダメだ。
彼と目線を合わせる。
.
沈黙を破ったのは私だった。
｢恐らく私はお前より強いぞ。｣
そういうと杉元さんはギラりと目の色を変えた。
好戦的な目だ。
こんなのはよく見ていた。
モモチをはじめとする忍組や、シュテンドウジなどをを含めた鬼達。
悪霊共も濁った瞳だがこんな感じだった気がする。
｢随分な自信だな。…お嬢ちゃんはホントに外の世界を知らない箱入り娘なのかい？｣
｢箱入り娘かはわからないが、外の世界を知らないのは本当だ。｣
まだ納得がいっていないようなので、これは実力を見せるしかないか、と考える。
｢鶴見さん、私は私の力を直接彼らに見せた方がいいと思うのだが。｣
｢おや、そんなにすぐにネタばらしをしてもいいのかね？｣
｢出し惜しみしてもあまりいいことはないしな。｣
わかった、と言った鶴見さんは鉄のプレートをどこからか取り出した。
｢しっかり見て私を品定めして欲しい。ただのか弱い女か、どうか。｣
｢さあ、では比べやすいように……っと、鯉登少尉、これを殴ってみてくれ。｣
鶴見さんはぐにゃりと脱力していた鯉登さん(と言うらしい)の前でプレートを固定する。
鶴見さんの声掛けに飛び起きた鯉登さんはコクコクと頷き、キッと表情を変えた。
｢キエエェェ！！！！｣
もう既にお決まりとなった叫び声と共に拳を突き出す。
が、プレートはビクともせず鈍い音を出した。そして拳を突き出したまま動かない鯉登さん。
｢とまあこのようにビクともしないプレート、タネも仕掛けもない。｣
鶴見さんが私の前に戻ってきて同じように固定した。
｢ふぅ、…………ハァッ！！！｣
バッッ……キン……！！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
