二十七本目の火柱 ページ27
｢申し訳ございません！よりにもよって兵隊様から荷物を盗むとは…！！｣
叫ぶようにして謝罪するおじさんと男の子に杉元さんが大丈夫だと伝える。
…ふむ、ここまで兵隊とは偉いものなのか。
｢これ以上世間様にご迷惑をおかけするわけにはいきません！！今日この場で保護者として責任を取らせて頂きます。｣
そう言ってからは速かった。
素早く立ち上がったおじさんはどこから出したのか、刀を男の子に向かって振り下ろした。
男の子の頬に赤い線が浮かぶ。
すかさず杉元さんがおじさんを殴って谷垣さんが男の子に駆け寄る。
｢あれ？切れてない……。｣
｢…！偽物の血か！｣
｢ええ、こっちは本物ですけど。｣
おじいさんは鼻血を止めながら先程男の子に降った刀の説明をしてくれる。
『ハラキリ』という手品の道具らしい。
｢じゃああんたら�犒歐有瓩�。｣
月島さんの言葉に気づく。
それならこんな道具を持ってても納得だ。
｢曲馬団�爛筌泪整貂足畉堕垢了嚇弔反修靴泙后�
我々はロシア各地での巡業を大盛況のうちに終え、日本に凱旋。
樺太での公演を控えております。｣
そういう娯楽もあるのか。
見て楽しむ。自分では出来ないことを代わりにしてくれるから、より輝いて見えるんだろう。
｢これだ！！｣
隣にいた杉元さんがそう叫んだ。
当然周りはちんぷんかんぷんで不思議な顔をしている。
そんな中杉元さんだけが嬉しそうだった。
｢目撃状況を考えてまだアシㇼパさんとはそんなに離れているとは思えない。
この広い街の中を聞き込みするより、俺が生きていることをアシㇼパさんに伝えた方が手っ取り早くないか！？｣
｢俺を樺太公演に出せ！�猊垰狄箸凌�元ハラキリショー�瓩任海梁臈垰塰�原に俺の名前を轟かすんだ！！！｣
.
杉元さんの提案を私達も参加することで了承を得た訳だが。
｢わあ！すごい！！｣
｢ええ？ウソ…！？｣
男の子基、長吉くんがいくつも積み上がったものの上に立ってバランスをとる『曲持』という芸を見せてくれたのだが、それをいとも簡単にやってのけたのが鯉登さんだった。
｢なんという身体能力……！｣
山田さんもびっくりだ。
挙句に何者かと聞かれる始末。
さっき兵隊様って言ったじゃないか自分で。
それに身体能力がここまで抜群に良いのは鯉登さんだけだしな。
その理由に杉元さん月島さん谷垣さんはからっきしだったからな。
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
