十五個目の火の玉 ページ15
おしゃべりロシア人に連れられて先程出てきた酒場に戻ってきた。
店主が椅子にドカリと座り同じテーブルに杉元さんに殴られたロシア人が座っていた。
『犬を返して欲しければスチェンカに出ろ。』
｢スチェンカ？｣
｢何だ？なんと言ってる？｣
｢どうやら杉元が殴り倒した男はなにか賭け事の参加者で、こんなに目が腫れては出られないから責任取れと言っています。
店の主人はこいつに大金を賭けていたらしいですね。｣
スチェンカ、聞きなれない言葉だ。
樺太に来てから随分と新しい言葉を知った。
というか美男かを競うコンテスト以外なら目が腫れていても出られるだろうに。
｢いいからさっさと犬返せ。�狹垢瓦板戮靴峠｜�海峡に浮かべるぞこの野郎�疆舛┐躔酖膩柿癲�｣
｢あの犬は私が高いエサ代を出して雇っている。�爐垢阿吠屬気鵑箸修離僖筌僖籠�を三枚おろしにして犬のエサにする�瓮蹈轡�語で伝えろ月島軍曹。｣
中々の暴言だ。
しかしまあ力ずくでねじ伏せられる相手の言葉に耳を傾ける理由もない。
ついでに私も何か伝えてもらおうと口を開くとちょうどロシア人と被ってしまった。
｢……なに！？｣
そのロシア人の言葉に月島さんは顔色を変える。
｢我々が探していた男……つまりキロランケたちは�猖務て擦�らきた刺青の男を探していた�瓠弔函�｣
刺青の男、それは杉元さん達の最大の目的である金塊の在処を示す暗号だ。
その男はスチェンカという賭け事に参加をしているらしい。
｢だからキロランケ達はここに来たのか…！｣
｢どこかで脱獄囚の噂を聞きつけたんだ。｣
これで私たちがスチェンカへの参加を余儀なくされたのだった。
.
｢ここで�爛好船Д鵐��瓩�行われているそうだ。｣
店主に連れられて来たのは真っ白な明かりが漏れる大きな建物だった。
｢くうぅッ、なんて熱気と男共の匂いだ…！スチェンカとは一体…？｣
店主が扉を開けた途端に襲う熱気。
思わず顔を顰めるほどのキツイ匂い……汗の匂いか。
中に足を踏み入れると大柄の男たちが寄って集って殴りあっている。
その周りを囲うようにして野次馬が叫んでいる。
『男達が数名で並び向かい合い殴り合うロシアの伝統的な競技！肉々しい男達が並んださまを�猜畢瓩卜磴┐拭帖�
……それがスチェンカなのだ！！！』
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
