眩しい ページ16
戻ってきた俊典の手には二つのマグカップがあった
「はい」
そう言って甘い匂いのした白いマグカップを私に渡す俊典
受け取ればいいのか？
マグカップを袖越しに掴めばじんっと温かさが伝わってきた
一旦温かいを通り越して熱いと感じてしまうくらいに
そのマグカップの中身を覗き込めば薄い茶色い液体が入っていた
なんだこれ土？それとも毒か？
訝しげに反対側に座る俊典を見ればなんだか公園で見た、子を見つめる母のように微笑んでいた
敵意がある訳でもない……殺す気もなさそうだ
ふぅふぅと湯気のたつ熱そうな液体に息を吹きかけやや警戒しながらゆっくりとマグカップに口を付けて
ほんの少し口の中に含んだ
『！』
茶色い液体は甘く口の中で香りを充満させゴクリと飲み込めば身体の芯まで温まる感覚
『美味しい…』
小さく呟やいてまた口の中にそれを流し込む
甘くて安心する味だ。
『これはなんと言う飲み物なの？』
「！……ココアだよ」
私の質問に1度目をぱちくりと丸くした俊典は優しく微笑んで応えてくれた
ココア…ココアと言うのか
私に食事は必要ないしあの二人も食事についてはいらない知識なのだと思っていたため
食べ物や飲み物についての知識は０と言っていいほど全くない
「…君の名前を訊いてもいいかい？」
ふぅーと息を吐けばタイミングを見計らったように俊典にそう訊かれた
『…ない。』
「え…？」
『私はバケモノ…バケモノに名前はない』
呪縛のように私の頭にこびりついた言葉
「君はバケモノなのかい？」
『え？』
驚いた
何故ならこれまでで1度もそう聞き返す人などいなかったからだ
俊典は自分の持っていたマグカップを置き私の前まできて床に膝をついた
『バケモノだよ…私は人間じゃないのだから』
「私には君は人間に見えるよ」
『そう創られてる』
「君には体温がある」
『…そう、創られてる』
「言葉が話せるじゃないか」
『ロボットのような存在だから』
どうしてどうしてそんなに優しくするんだ
意味がわからない
『感情があるじゃないか』
「それは…」
私はバケモノなんだ
人間にはなれないバケモノ
どう返せばいいのかわからず下を向いたら俊典に両頬を優しく掴まれ顔を上に上げられた
「“涙を流せるじゃないか“」
『！』
「君はバケモノなんかじゃない。人間さそれ以下でもそれ以上でもない人間なんだよ」
その言葉はからっぽの心にストンっと落ちた
嗚呼やっぱりこの人は
私には“眩しすぎる“
その日、光に出会った。
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人間失格な人間？２←(プロフ) - メグミさん» コメントありがとう御座います！轟くんの出番まで少々掛かりますがそれまでお待ち頂けると嬉しいです(´▽`)。更新頑張ります！笑 (2018年10月6日 7時) (
レス) id: 728099f7d0 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - すごく面白いです！轟くんの出番待ってます！笑笑更新頑張ってください！ (2018年9月30日 17時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
人間失格な人間？２←(プロフ) - こたぬき@ショタコンさん» コメントありがとうございます。キーワードから結構なネタバレとなっていますが読者様に喜んでもらえるような小説を書けるよう頑張ります。応援ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月16日 20時) (レス) id: 728099f7d0 (このIDを非表示/違反報告)
こたぬき@ショタコン - 轟くん落ちなんですか？！キーワードに書いてあったんで驚きましたw。 面白いです！更新頑張ってください！応援してます！！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人間失格な人間？ | 作成日時：2017年8月2日 16時
