第5話 ページ5
*
「もっかい聞いていい？」
「…どうぞ、」
ご丁寧に顔の横に人差し指を立てた五条さんは、ゆっくりと口を動かした。
「付き合い始めたのは？」
「5年前です。」
「彼女の歳は？」
「25歳です。」
「デートは？」
「5年もお付き合いしてますので数え切れないほど。」
そこまで質問した五条さんは、一度息をふうっと吐いた。一呼吸置いて、またその口が開かれる。
「彼女を抱き締めたことは？」
「…昨日初めて、」
「…キスは？」
「……いえ、一度も。」
「……その先は？」
「………もちろん、一度もありません。」
今度こそ盛大な溜息を吐いた五条さん。
彼が言わんとしていることは重々承知しているつもりだ。
″5年も付き合っているのに何故未だに手を出さないのか″
この問に如何にして返せばいいのか、難しい限りである。
何せ本当のことを言ったとしても、誰も本気にしてくれやしないのだ。
″彼女のことを愛しているが故に触れることが出来ない″なんて、子供じみた私の恋愛観など。
いい歳をした大人が愛する人を前にして何も感じないのかと、そう思われても仕方が無い。
…現にAさんも、嫌気が差しているのかもしれない。
5年付き合っても一向に進展しないこの関係のことを、彼女は既に諦めてしまっているかもしれない。
それでも笑顔を絶やさず、傍に居てくれる彼女に、私は5年もの間ずっと、頼り切ってしまっている。
けれど、その5年を経て始めた同棲で、その子供じみた恋愛感は粉々に崩れ去った。
Aさんが、予想以上に愛おしかったのだ。
『広いですね！七海さん！』
そう言いながら楽しそうに目を輝かせるAさん。
『えへへ、今日から七海さんとずっと一緒ですね！』
私の方を振り返り、恥ずかしそうに微笑むAさん。
あまりにも可愛らしいそれらの言動に、今まで溜め込んで来た欲が溢れ、
気が付けば、彼女のことを抱き締めていたのだ。
「これから、どうすればいいんでしょうか。」
無意識のうちに口から溢れた、心の内にあったその悩み。それは、五条さんの耳に入ったかすら分からないほどのか細い声だった。
「うふふ♡」
しかし、それをハッキリ聞き取れたらしい五条さんは、嬉しそうに笑う。
…しまった。
そう思っても時既に遅し。
「恋愛相談ならこの最強五条さんに任せなさい！！」
そう言ってビールが並々と注がれたグラスを持たされた瞬間、今日は深夜コースだな、と確信したのだった。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (
レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました！笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか？(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます？) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……（震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます！何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(ﾄﾗｳﾏ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emi | 作成日時：2021年3月3日 6時
