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太宰誕生日記念 ページ28

海に映っている朝日が見える丘。無月の名が刻まれた墓。そこに、酒を持って来た男が一人。其の男の名は太宰治。

治は両手では抱えきれない程の酒を持ってきていた。ヨロヨロとしながらも、酒を落とさないように注意して歩く。

墓の前に立つと、酒瓶が割れないようにゆっくりと地面に置いた。


「誕生日おめでとう!!私!!!そして無月さん…いや(むつきさん)


何時も無月が使っていた酒杯(グラス)と、自分の愛用酒杯(グラス)に治は酒を注いだ。

そしてカランと酒杯(グラス)同士を当てて、音を鳴らす。


「本当は織田作とか連れてきてあげたかったのだよ?でもね、織田作達は無月さんが私だと知らない。だから連れてこれなかったんだ。私だけで勘弁してくれ」

「え?私も織田作も要らない?美女が良かった?よしてくれよ、無い物強請りされても私困るよ」


治は無月で無月は治だ。自分がこう云えばきっと自分はこう返すだろう、そんなのを予測して一人で永遠と語っている。


贈物(プレゼント)をね、贈ろうと思ったのだよ。けれど翌々考えて見れば私も今日誕生日だろう?誕生日本人なのにどうして贈物(プレゼント)を買わなくちゃいけないのかなあと思ってしまってね」

「え?本当の事を云え?仕方ないなあ。裏事情を話してあげようじゃあないか。本当は今、手持ち金が無いのだよ。国木田君に全部取られてしまった。「手帳の恨みぃぃいい!!」って云ってね。私は唯、国木田君の手帳の頁を全部、燃やしただけなのだよ?全く悪いことはしていない」

「ふふっ、祝いに祝われに来たのに結局愚痴を零して終わってしまった。そうだ!!今日は未だ始まったばかりだ。織田作も連れてこよう!織田作に無月さんは私、と知らせなければいいのだよ。普通に「今日は無月さんの誕生日なんだ」と伝えればいい!!こうなったら善は急げだ無月さん!私は少し早めの出社をしてこようと思う!!」

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作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月1日 2時

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