また拾った ページ13
「ほら、私も名前を教えたんだ。君の名前も知りたいのだけど」
「…既にお前は俺の名前を知っているんじゃないのか」
漸く口を開いてくれたのが嬉しいのか、無月はふふっと笑う。そして「勿論」と頷いた。
「でも本人の口から聞きたいだろう?其れに、あくまで私は君の名前を予想したんだ。もしかしたら間違ってるかもしれない」
「…………」
「ほらほら疾く」少年は無月にそうせがまれ渋々口を開き、小さな声で名前を云った。
「……織田、作之助だ」
無月は嬉しそうに笑った。
「そうか、織田作之助か!!じゃあ君は今度から織田作だね!!だって名前長いんだもの。決定だ!じゃあついて来給え」
流れるように無月は少年、織田作之助の手を取ると歩き始める。あまりにも滑らかな動作だった為、織田作は動けなかった。織田作の周りには沢山の
「うふふ、何が何だか分かっていない顔だねえ。いいよ、教えてあげよう。君は今度から殺しなんてしなくていいんだよ。何故かって?そりゃあ理由は明解だ。私が君を養う事にしたからだよ。君もそろそろ殺しに飽きてきた頃だろう?こう云うチャンスは捨てたら勿体ないんだ。だから有難く貰っておくといいよ」
パチンと星が飛びそうな勢いのウインクをする無月。織田作は無表情だったが、少しモジモジしているように無月は感じた。
「君よりもちょっと下の歳の治って子が居るんだ。きっと君達は仲良くできるよ」
自信満々に云う無月の顔は楽しそうで、何故か少し悲しそうだった。
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