出会い ページ1
黒いパーカーにフードを被った男性。身長は高く、目付きは案外優しい目付きをしていた。身長の割には肉が着いておらず、かなり着痩せしていて弱々しい。
そんな彼が歩いていた時だった。一人の少年が走っており、男性と勢いよくぶつかってしまう。
体格の差で少年は遠くへ吹き飛ばされてしまう。一瞬キョトンとしていた男性だが慌てて少年に近寄ると「大丈夫かい!?」と声をかけた。
「…別に」
「……大丈夫そうだね。良かったよ。所で親御さんは?」
一人でこんな場所に居たのが男性にしては疑問だった。少年に聞けば少年は目を合わせる事無く「別に」と答える。
「君、別にしか答えないねえ。其れしか答えられないのかい?」
「別に…」
「ほうらまた!別にしか答えない!!親が居ないなら居ないと答えればいいのに。可笑しな子だねえ」
少年の目が見開かれる。驚いているようだった。
「…何で、分かったの…」
「そりゃあ分かるでしょ。こんな場所に君一人何だ。誰だって君が
そう、男性が歩いていた場所は『貧民街』。基本的に親の身寄りがない子が自分の力だけで住む場所である。
「ふふふっ。私、いい事を思いついた。聞きたいかい?」
「……別に」
「私、君を拾う事にしたよ!!」
俯いていた少年の顔が上がり男性の目と合う。男性は優しく微笑んだ。
「子供が特別好き、って訳じゃあ無いんだ。正直、君がどうなろうと興味は無い。けれど拾うことにした。…と言っても君がついてこないと言うならそれでいい。無理強いはしないよ」
「だから君が決め給え」男性はそう云った。
暫しの沈黙が二人を包み込む。決意した瞳で男性を見ると少年は云った。
「僕の名前は太宰治。今日から…宜しく、お願いします」
「別にそんなに畏まらなくていいのに。普通でいいんだよ、普通でね。其れにしても奇遇だね。私も太宰って云うんだ。太宰、
これが少年、太宰治と男性、太宰無月の出会いであり、始まりだった――。
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