アイドルとオタクとマネージャー∞

36.発想(大倉) ページ36

チェキ撮りながら、1人ずつの時間も確認しつつ、声を掛ける。

慣れてるのは、ライブに行き慣れとる証拠で、いつもされてることをしてるから。

こんな感じやったなと思い出しながら、今日はチェキ券があるわけやないから、ささっと現金でのやり取りをする。

側から見たら、なんかの賄賂やとか思われてたかもしれへんな。

せやけど、ライブをするための資金やから、ここはAに頑張ってもらわんとなぁなんて心で思いながら、そしてこれからどうするかを考える。

今、これからの時間も、今後の展開も。

ここでこうして触れ合うみたいのも必要やけど、これだけだと距離が近すぎるやんか。

あんまプライベートを見せすぎても面白みがない。

見せなすぎても高嶺の花すぎて飽きられるかもしれへん。

そこそこの…手が届きそうで届かへんのやけど、たまにすれ違えるくらいの絶妙な距離感を生み出すためには、


大「やっぱ、ライブやなぁ」


目の前でオタクと話すAを見ながら呟いた。

大体の人が3〜4周して、そのあとも数人はそれ以上回してて。

そろそろええかなと、


大「今、並んどる人でチェキはおしまいにするな」


と声を掛ける。

まだ時間は昼を過ぎて、解散するには早い時間。

あと1時間くらいは続けたいなと思いながら考えを巡らせるのに、チェキ列が終わった途端に、


『だるまさんが転んだ、しようと思って、、、』


なんて言い出すから、


大「へ？」


間抜けな声が出たのは仕方ないやろ。


大「だるまさんがって、、、」


『あのだるまさんが転んだ、だけど、、、』


大「どこから…？」


急に言われても頭が全然追い付かん。


『チェキの列見てて、思いついたというか。

楽しそうじゃない？』


何をどう見たらあの列がそう見えたのは俺にはわからん。

けど、


大「Aがやりたいんやったらええやん」


最終的にこう言っていて、そして、


『だるまさんが転んだやりたいんだけど、、、』


少し張った声で言うAに、オタクたちが驚きながらも賛同しとる。

驚くのはわかるで。

俺も驚いたんやから。

そんな遊び、いつ以来やと思いながら、記録として動画でも撮るかとスマホを構えて様子を見てた。

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