アイドルとオタクとマネージャー∞

24.いただきます ページ24

本当はお手洗いに行きたかったわけじゃないけど、大倉さんに突っ込んだ話ができそうな気がして、


『お待たせしました』


と木陰で私を待っていた大倉さんに声を掛ける。

スマホに視線を落とした表情が、なんだかとても柔らかで、


『どんな人なんですか？』


唐突な質問をぶつけては、


『まぁ、私には関係ない話ですけど』


と興味はあるけれど、言いたくないこととかまで突っ込んで聞く気もない。


大「おまっ、自分で聞いておいて聞かへんってなんやねん」


『言いたくないこととかまでは別に聞かなくてもいいかなって思って』


大「聞いておいて、勝手やな」


『そうですか？

でも、無理矢理聞くことでもないかなって』


大「ペースが乱されるわ」


『じゃあ、聞きます』


大「じゃあ。ってなんやねんっ」


さっきのスマホに向けた微笑みとは違う笑みが大倉さんの顔に浮かんでは、


大「ま、そのうち…な」


とだけ言って急にスピード上げて進み出すから、追いかけるけれど追いつかなくて。


丸「おかえり」


あっという間にお花見してた場所まで戻ってきてた。


丸「なぁなぁ、Aちゃん？」


『はい？』


丸「お腹は空いてへんの？」


『あ…』


そういえば、村上さんが買ってきてくれたものはどれもまだ手付かずで、それって、もしかして、


『、、、私待ち…でしたか？』


丸「んー、、、僕、お腹ペコペコやなぁと思って」


ぐぅっとタイミングよく鳴る丸ちゃんのお腹の虫に笑ったのは私だけじゃなくて。


丸「やって、早起きしたんやもん」


なんだか可愛く拗ねるから、これは早く食べ始めないといけなかったかなと反省する。


『ごめんさない…』


丸「へ？ええんよっ！

謝らなくてもええんやけど、お腹空いたなぁって思っただけやし」


安「どっちやねん」


章ちゃんが丸ちゃんに突っ込みながらも私に箸が渡されて、


『いただきます』


村上さんに向かって言ったのは、この目の前に並べられたのは村上さんが持ってきてくれた見た目にも高級そうなお寿司だったから。


村「早めに食わんと駄目になるからな。

気にせんとみんなで食え」


-はーい-


と


-いただきます-


の声があちこちから飛び交って、私が口をつけると同時に箸があちこちから伸び始める。

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