【ＣｌｏｖｅＲ】紫・12号店

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こいつ、絢華とは、腐れ縁みたいもん。

学生時代に知り合ったサークル仲間。

あ、サークルいうてもあれやで？

健全なやつ。

飲みサーとかやなくて、ほんまにちゃんとフットサルしとっただけ。

絢華はマネージャーみたいなもんで、俺だけやなくて仲間内には平等に気を配るような子やったな。

やから何だかんだと常に周りには人が居たし、別に好きとか嫌いとか。

そういうことやなくて、男女としてというよりも仲間として連んでた。

学生やなくなって、社会人として働いててもそのままのメンツでボール蹴って遊んでて、その流れで飲みに行ったりすることで日々満たされた。


特定の女とか別にいらん。


めんどいだけや。


こうやってフットサル仲間だけやなくて仕事仲間と酒飲んで盛り上がれたら、それだけで楽しいやろ？

そりゃ俺も男やし、たまにはそんな気持ちになることもあるけど、まぁ、それはな、自分でも出来ることやし…。

それよりも、そんなんを紛らわすように楽しんだ方を選んでいたことは間違っていないと思う。

学生時代のサークルだけじゃ物足りなくて、社会人サークルにも入るようになって、休みの日はそっちの方に顔を出すようになっていくとまたそこでの繋がりが増えていって、土日だけでなくて平日も忙しくなっていく。

それでも、その方が仕事も捗るいうか、終わらせなあかんことを期日前に前倒してたのは遊びたいからなんて理由は社会では違う見方をされたのか、異例の出世なんて言われて部下もついて地位が出来て。

そうして俺は、ずっとこんな感じで遊ぶために働いて、そして老いていくんやろうなぁなんてぼんやり考えてた時にあの店で、CloveRで出会ったのがAやった。

別に何があったわけでもない。

ただの客と客。

いきなり話しかけたり話しかけられたりとかあったわけでもなく、カウンターに腰掛けるAがそこに居ただけ。

マルと大倉連れてCloveRに来ると、いつも同じ席に大体座ってて、ヤスや亮と話し込んだりするわけでもなく、たまに言葉を交わしては酒器を眺めては口をつけて。

雑誌を1ページずつ、やたらと丁寧に捲るのは、一字一句丁寧に読んでるからやろうか。

そんなことが気になり始めるとそこから興味が湧くのは自然なこと。

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