11-誘い-(Side忠義) ページ11
『あ…ごめんなさい。
その、カフェラテ、美味しかったです』
戸惑ったまま、それでも一瞬でも笑顔になったAさん。
大「ふふ。良かった」
思わず漏れたのは本音。
それに任せて、
大「よかったらまた来てくれる？」
『え？』
立ち上がったAさんにそう言ったのは、
また来て欲しい、会いたいって思ったから。
『あ、はい。また来ます』
言い方的に社交辞令やったかなと思ったんやけど、
そんなことはなかったみたいで、
翌週もそのまた次もAさんは店に来て、
そしてカウンターに腰掛けて。
カフェラテ片手に
俺と少しずつ会話をするようになっていった。
ある日、いつものように店に来て、
カウンターに腰掛けるAさん。
ほんまは名前を知っとるんやけど、
そんなん急に呼んだら不気味やろ？
せやからずっとチャンスを狙っとったわけで。
どうやらその日が今来たらしい。
大「あの…Aさん？」
初めてその名を口にする。
『えっ！？』
そりゃ急に名前呼ばれたら驚くし、
その反応は普通やと思う。
大「ご、ごめん。
せやけど、社員証付けっ放しやから…」
『あっ…、またやっちゃった…』
驚いたことと、恥ずかしかったのか。
そんなことが同時に起こったからなのか、
首元まで真っ赤にしたAさんがたまらなく可愛くて、
抱きしめたくなる気持ちをグッと抑える。
…やけど…
大「あのさ、
ちゃんと俺も自己紹介とかしたいって思うんよ？
やから、夜、何時でもええから
帰りに店に来てくれへん？」
『え？』
大「あの、そんな変な意味ちゃうで？
ただ、もっとゆっくり話したいっていうんか、
カウンター越しやなくてその…あっ！
新メニューの味見してくれへん？」
ほんまに新メニュー考えとったってのもあるんやけど、
最後は顔の前で両手合わせて懇願する。
そんな様子を見て常連のおっさんたちはニヤニヤしとるし、
それでAさんも恥ずかしくなったのか
『あ、あのっ…わかりました、
わかったのでもうやめてください…』
と小さくなりながら、
同時に耳まで真っ赤にして頷いてくれた。
そして、俺が心の中で決めたのはガッツポーズ。
12-味見-(Side忠義)→←10-社員証-(Side忠義)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華絢(プロフ) - ひみささん» まったく違いすぎて、引かれないか不安ですΣ(ﾟдﾟlll)ｶﾞｰﾝ (2018年2月19日 19時) (
レス) id: 1867a62e47 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開、ありがとうございます(*^^*) 今までと違うテイストのようで、続きが楽しみです♪ (2018年2月19日 19時) (レス) id: 76e38abfc7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華絢
| 作成日時：2018年2月19日 18時
